病院でしつこく勧誘する業者には……

病院から霊安室への搬送や、院外への移送などをスムーズに行うため、大規模病院ではほとんどが、出入りの葬儀社を持っている。

葬儀社にとっても病院の出入り業者に指定されれば、ビジネスチャンスが広がるため、様々な名目で病院へお金を渡す習慣がいまだに横行している。

国公立病院では、あからさまな金銭授受は違法行為だが、看護師長への贈答品や接待攻勢など、葬儀社の担当者はあの手この手で気に入られる努力を惜しまない。さらに都内の私立病院のケースでは、指定業者は年間2000万~3000万円の「寄付金」以外に、一遺体につき2万~3万円を病院に支払うのが相場だ。葬儀を受注できなくてもこの金額は変わらない。

こうした巨額の経費は、もちろん葬儀代金に上乗せされ、遺族が負担することになる。さらに、僧侶に支払う寺関連費用も遺族にとっては重荷だろう。お布施や戒名、読経などにかかる金額は、全国平均で55万円(日本消費者協会調べ)と安くない。葬儀社に支払う葬儀費用と合わせれば、250万円が計上される。

料金を上乗せされやすい主な項目(色付き部分)
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料金を上乗せされやすい主な項目(色付き部分)

なぜ葬儀費用はこれほど不透明なのか? それは、多くの人が誰かが亡くなってから初めて葬儀社を選ぶからだ。全く予備知識のない遺族は、悪徳葬儀社からすれば絶好のカモ。取って食われぬよう、葬儀社選びのチェックポイントを記したい。

病院で出合う葬儀社は、あの手この手で葬儀を半ば強引に請け負おうとするが、目に余る言動があれば、病院にクレームをつければ収まる。彼らのアキレス腱は、病院指定業者から外されてしまうことだからだ。