ただ、知ったかぶりは悪い面だけではありません。「人に聞くのが許せない」と思うぶん、自分でなんとかしようとするタイプもいるからです。“知っている理想の自分と、知らない現実の自分”との乖離を認識すると、耐えられない気持ちになり、人によっては空想に走ったり、手っ取り早く有名になろうとしたりするアクションを起こす人もいます。

ただ、努力した結果として、お金持ちになったり、社会的地位が高くなったりして実質が伴うと、それが自分の確固たる基盤になるので、過度に欲する状態から卒業することも。一方で、自分を高く見せたいと願っていても、努力することなく、妄想しかしないタイプもいます。

「知らない」と言っても、他人の評価は下がらない

知ったかぶりの人がどちらのタイプになるかは、今の自分をどう認識し、現実とすり合わせて、どう対処していくか――そのやり方で決まるといえるでしょう。もし、知ったかぶりをしている同僚が気になったとしても、理想の自分と現実の自分との乖離を埋める努力をしている様子が見られたら、優しく見守ってあげてもいいのではないでしょうか。

もし「これは自分のことだな」と思う人がいたら努力を重ねるか、素直に「知りません。教えてください」と言うかの二択です。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざもあります。

ちなみに「知らない」と言ったくらいでは、周りからの評価は自分が思うほど下がらないですよ。「自分だけが周りから注目を集めている」と思うことを、心理学用語で「スポットライト効果」といいます。

でも、周りの人はそれほど他人を気にしていません。むしろ、みんな周りのスポットライトなんて見えていなくて、自分が注目を集めていると思っている。だから、気楽に生きてください。知ったかぶりの人にモヤッとしている人にも、知ったかぶりを自覚している人にも、どちらにも響けばうれしいです。

(構成=池田園子)
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