大事なのは最後まで自分自身を疑わないこと

現実的に、モンスター上司からの干渉はなくならないので、対応していかなければならない。そういうときは「汚物処理マインド」を持って対応することを推奨したい。

仮にあなたが飲食店の従業員として考えてみよう。お酒も出す店だ。ときどき悪酔いして吐いてしまう客もいる。あなたはビニール手袋をはめて汚物を処理することになる。そのときの気の持ちようが「汚物処理マインド」である。

ほとんどの人が「手袋をはめていて直接は触れないから衛生的にはオッケーだけれども、やっぱり汚いよな。汚いものは早く片づけよう」と思いながら粛々と作業を進めるはずだ。汚物処理から何かを得ようとは思わない。

モンスター上司はただの汚物。「汚物処理マインド」をもって、汚いものはさっさと適当に片づけるようにしよう。モンスター上司からメンタルを守るうえで一番重要なことは、自分を信じて、最後まで自分自身を疑わないことなのだ。

モンスター上司は反抗されると動揺する

僕は10年以上、モンスター上司の下で働いた。当初から、「この上司はおかしいのでは?」と感じていたが、その感覚を押し殺し、「これも何かの縁」とポジティブに考えて働いたことを今でも後悔している。理不尽な扱いも僕を思ってのことと捉えて耐えてしまった。

フミコフミオ『ぼくは会社員という生き方に絶望はしていない。ただ、今の職場にずっと……と考えると胃に穴があきそうになる。』(KADOKAWA)

その結果、心身は疲れ果て、今でも胃薬は手放せない。

そんな僕を救ったのは、「汚物処理マインド」である。世の中には学ぶべきものがないどうしようもないモンスター上司がいると悟ったあとは、心が軽くなった。モンスター上司対応は「めんどくさいけれど、早いうちにすませてしまおう」という、トイレを掃除しているような気分ですませた。

そして、多少の余裕ができた僕は上司にときどき反抗もした。モンスター上司は部下の反抗になれていないので、「な、なんだよ! しょうがねえ奴だな」と動揺を隠せないようであった。そうやって時々揺さぶりをかけてみることも、相手によっては有効だろう。

僕は、汚物処理マインドという武器ひとつでモンスター上司と10年以上も戦ってきた。今は職場も変わって快適な環境で働いている。幸せではあるが、モンスター上司がいないぶん、物足りなさを感じてしまってもいる。

皆さんには、モンスター上司と出会ってしまったら汚物処理マインドで受け流してもらいたいが、くれぐれも、僕のようにモンスター上司慣れはしないように気を付けてもらいたい。

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