たとえば、みなさん自身が今あるのも、家族や学校、地域社会、会社の先輩などが愛情や時間というエネルギーを注ぎ、熱心に指導をして教育をしてくれたからです。当然、損をするリスクもとってくれていたでしょう。

ゼロからイチを生み出すには、この「リスクをとる人」と「エネルギー」が必要なのです。

エネルギーを後輩や子どもに投入するのが、「教育投資」です。工場や店に投入するのが「設備投資」。会社を応援する資金に使うのが「株式投資」です。私がファンドマネジャーという仕事でやっているのはこれになります。そのほか、寄付やボランティアに使ったら「社会投資」ですし、自分自身に使えば「自己投資」となります。

投資家のように世の中を見渡すと、すべての物事には「エネルギー」のやりとりが存在していることがわかります。

投資がなければ「未来」は生まれない

投資にもいろいろ種類があり、お金だけの世界ではないということがイメージできたでしょうか。

誰かが過去にエネルギーを投入した結果、今の社会があるということは、逆に見ると、未来の社会は、私たちが今、エネルギーを投入していかないと切り開いていくことができない、ということなのです。私たちが投資する姿勢を失うと、世の中の成長が止まってしまいます。

ですから、「私が投資をしよう」と伝えているのは、必ずしも「お金をふやそう」ということではないのです。「投資」という行為は、金銭的な損得のためではなく、「未来を切り開く」ことにおいて必要なのであって、「お金を得る」ことは投資のリターンの1つにすぎません。

投資の本質とは、「今、この瞬間にエネルギーを投入して、未来からお返しをいただくこと」だと先ほど定義しました。そのことに気づけるかどうかは、人生の分かれ目だといっても過言ではありません。なぜなら、世の中で成功している人や圧倒的な成果を出している人は、この「投資の本質」を完全に理解しているからです。