頭のいい子が麻布・開成を蹴って進学先にする学校

神奈川県の「栄光学園」「聖光学院」は男子御三家と比肩する学力レベルだ。

栄光学園は戦後間もない1947年(昭和22年)に神奈川県横須賀市で開校した。現在地に移転したのは1964年のこと。同校は創立当初からエリートが集まる進学校だった。四期生に解剖学者の養老孟司氏がいるが、彼は母校を述懐して「何だか受験少年院みたいだったな」とその厳しい指導を振り返っている。

その栄光学園に不合格になってしまった子の受け皿となったのは、1958年(昭和33年)に開校した聖光学院だ。著名な卒業生にミュージシャンの小田和正氏がいるが、彼も第1志望校の栄光学園に不合格になった結果、聖光学院に進学したのだ。

ちなみに、2校ともカトリック系の学校である。もともとは栄光学園を追いかける存在だった聖光学院だったが、近年では偏差値上では逆転している。実際、2019の東大合格実績に目を向けると、54人合格(全国第9位)の栄光学園に対し、聖光学院は93人(全国第4位)と上回っている。

「横浜男子御三家」栄光学園、聖光学院、浅野の実力

この逆転現象は、聖光学院が日々の授業やそのカリキュラムを徹底して大学受験を意識したシステマティックなものに変えていて、それが成功していることが大きい。聖光学院は塾・予備校泣かせの学校として有名で、「塾に通わずとも東大に合格できる体制」を構築しているのだ。近年では麻布や開成に合格しても聖光学院を進学先にする生徒が増えている。

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なお、栄光学園、聖光学院は「横浜男子御三家」と呼ばれることもある。もう1校は、浅野である。同校は近年レベルをぐんぐん伸長させている。1985年度の偏差値は56あったのに対して、2019年度は64と8ポイント上げている。浅野は教員の質向上にこだわり、優秀な人材確保に力を入れ、生徒たち一人ひとりにきめ細やかな学習指導をおこなうことで、徐々に人気を博すようになったのだ。2019年度の東大合格実績は38人(全国第16位)だ。