仕事にはメールでのやりとりが欠かせない。毎日メールの文面を考えるのにストレスを感じていないだろうか。ビジネスコミュニケーションに詳しい中川路亜紀氏が、知ると得するメール術を解説する——。

※本稿は、中川路亜紀『あなたのメールは、なぜ相手を怒らせるのか?』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

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夜書いたメールは送信せずに、朝読み返す

仕事が山積してしまい遅くまで残業しているあなたに、取引先の担当者から進行中の仕事にあれこれと注文をつけるメールが送られてきました。あなたが緻密に考えたプランがこれでは台無しになってしまいます。

頭にカッと血が上り、夜の9時にカタカタとメールを打つあなた。そのメール、そのまま送りますか?

やめたほうがよいでしょう。ぐっとこらえて、一晩寝かせてみてください。朝の太陽の下で読んでみて、おかしくなかったら送ってもいいと思います。

私も経験がありますが、夜は集中力が高まっているためか、相手の言葉に過剰に反応してしまうことが少なくありません。時間をおいて読み返してみると、余計なことを書きすぎていることがよくあります。

「絶対に」「明らかに」は使わない

たとえば、強調語(非常に、とても、大いに)はかなり削れます。「これはこうです」と書けばいいところを、「これは絶対にこうです」「これこれのことを考えても明らかです」などと言いつのってしまいがちですが、思い切って言葉を削っていくと、冷静で知的な文章に変わるのでやってみてください。例を挙げてみましょう。

頭にカッと血が上った悪い例
ご提案のようにすると、注意事項の一部が一面で表示されなくなってしまうので、絶対によくないと思います。利用者の安全のためにはどれも大変重要な内容ばかりですので、すべて一面で表示したいと考え、ずいぶん苦労して文章を練ってきました。今さらこのような変更をご提案いただくのは心外です。
一晩寝かして書き直した良い例
一つ懸念しますのは、ご提案の内容を入れますと、注意事項の一部が一面で表示されなくなるということです。利用者の安全のためにはどれも重要な内容ですので、できればすべて一面で表示したいと考えております。

相手と意見が対立しているときはなおさら、言葉は簡潔に、過不足のない表現になるように推敲すいこうを重ねたほうがよいでしょう。

重要な返信は、必ず読み返してから返信する、場合によっては、下書きに保存して時間をおいて読み返すくらいの慎重さをもっても、損はありません。