豊洲移転問題でもあった小池さんの「よく分からない」発言

ここではあえて小池さんの例をとりあげるが、象徴的なのは、築地市場の豊洲移転問題だ。

小池さんは2016年、自民党・公明党、そして旧民進党の包囲網を破り、一匹狼で見事、東京都知事選挙に勝利した。その余勢を駆って、築地市場の豊洲移転に待ったをかけた。

(略)

ところが、庁内で徹底して議論した結果、結局のところ、築地市場は豊洲に移転せざるを得ない状況が見えてきた。2017年6月下旬のそのとき、小池さん率いる都民ファーストの会が初めての都議会議員選挙に挑むときで、小池さんとしては自分のこれまでの大騒ぎが空騒ぎであったことを認めたくなかった。

橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社)

そこで放った言葉が

「築地は守る、豊洲は生かす」だった。

結局、豊洲に移転するんだけど、築地をどうするのかはよく分からない。築地にも「食のテーマパークを作る!」なんてぶち上げたが、豊洲が中央市場になる以上、その近接地である築地にさらに食のテーマパークを作ることは困難なのは素人でも分かる。現在では食のテーマパーク構想は立ち消えになったようだ。

二者択一の判断が迫られたときに、小池さんは、「アウフヘーベン」という言葉もよく使っていた。二者択一にとらわれずに、総合判断をして、一段高みに昇るという意味らしいが、トップに回ってくる判断は、組織がとことん話し合った上で、二者択一にまで絞られたものなので、もう高みに昇りようがないほど煮詰まったものだ。トップはどちらかを選ぶしかない。

その段階で小池さんがアウフヘーベンできるのであれば、その前の段階で、優秀な行政官僚たちや外部識者などがアウフヘーベンしているはずだ。

アウフヘーベンは行政官僚や識者がやること。それができないからこそ、トップである小池さんに判断が回ってきたのであり、そこでは、最後エイヤーで決める政治判断が求められる。

(略)

(ここまでリード文を除き約2600字、メールマガジン全文は約9100字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.174(11月5日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【「トップ判断」のノウハウ(1)】五輪マラソン札幌開催決定! なぜ小池知事のコメント「合意なき決定」は最悪なのか》特集です。

【関連記事】
橋下徹「ラグビー日本代表の報酬は安すぎる」
野村克也氏「巨人・原監督の采配はここがダメ」
前回五輪は10月なのに、なぜ今回は真夏なのか
「宝くじ1等6億円」確実に当選する方法
マラソン札幌変更「NOと言えない日本」の悲しさ