産経社説が「朝日の主張には心底あきれる」と批判
産経が朝日にかみついた。10月18日付の産経新聞の社説(主張)が、「朝日はヘイトを許すのか」という見出しを掲げ、朝日新聞の社説を酷評している。
「朝日新聞は16日付社説で『〈日本へのヘイト〉との批判』を『あきれる話だ』と難じた。ヘイト行為に目をつむる朝日の主張には心底あきれる」
産経社説は朝日の主張のどこが「ヘイト行為に目をつむる」と怒りかつあきれているのか。産経社説を冒頭から読んでみよう。
「ヘイト(憎悪)表現が罷(まか)り通った愛知の企画展が終わった」と書き出し、「国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』の企画展『表現の不自由展・その後』である。問題のある作品が展示されたのは異様だった」と続ける。
産経社説は「ヘイト表現が罷り通った」や「異様だった」という表現を使って「表現の不自由展・その後」の企画展そのものを手厳しく批判する。
産経の怒りの発端は、この企画展にある。
「表現の不自由展・その後」は開幕からわずか3日で中止に
「あいちトリエンナーレ2019」は8月1日に開幕した。しかしその中の企画展「表現の不自由展・その後」で、慰安婦問題を象徴する少女像や昭和天皇とみられる写真を燃やす映像などが展示されていたことから、抗議の電話やメールが殺到した。「撤去しなければガソリン携行缶を持ってお邪魔する」と脅迫するFAXも届いた。
実行委員会会長の大村秀章・愛知県知事は開幕からわずか3日で企画展の中止を決定した。異常な事態である。
その後、愛知県が設けた有識者による検証委員会が、再開を提言する中間報告を発表した。これを受け、閉幕まで約1週間となる10月8日に企画展が再開された。展示内容は中止前の同じだったが、混乱を避けるため見学者の人数は制限され、見学は抽選となった。そして10月14日、企画展を含むすべての展示は終了した。