この数年前にも、別のグループで同じようなことがあった。
彼女は連れてこないでください
ある研修プログラムで出会った仲間たちと、年に一度集まって遊びに出かけていた時期がある。ここではその会を「ビーチに戻る会」と呼ぶことにしよう。親しくなった仲間で、厳しい研修の合間を縫って骨休めのためにビーチに繰り出したのが会のきっかけだった。研修では毎日追い詰められていたので、その憂さ晴らしにソフトボールをしたり、バーベキューをしたり、ビールが先かワインが先かで言い合ったり、夜遅くまで「ダンスバトル」で盛り上がったりした。
二年連続で集まり、みんながこの週末を楽しみにしていた。集まりたいから集まっていただけだが、全員が同じ思いを共有していたと思う。あえて言葉にするなら、一緒に時間を過ごし、羽を伸ばし、絆を感じることだった。でも、誰もそんなにはっきりした目的意識はなかった。そこに、ある出来事が起きた。
会ができて三年目になる頃、グループのうち二人に恋人ができた。相手はどちらもグループ外の人だ。二人とも、この会に恋人を連れてきたいと言った。そこでメールや対面で話し合いを重ね、結局連れてこないでほしいということになった。一人は諦めて恋人抜きで参加することにした。まだ付き合って間もないし、恋人も気にしないだろうと考えたらしい。
揉めごとによって集まりの目的があきらかになることも
しかし、もう一人のメンバーは遠距離恋愛の最中だった。しかも、当人は兵士で、もうじき従軍することが決まっていた。恋人と過ごす残り少ない週末であり、彼は研修仲間と一緒にいる自分の姿を恋人に見せたいと思っていた。自分にとって意義のあるものを、彼女にも知ってほしいと思ったのだろう。
そこで、彼はもう一度、彼女を連れてきたいとみんなに頼んだ。最初わたしたちは、その週末に借りていた家がそれほど広くないので、彼女の泊まる場所がないと言って断った。すると彼は、彼女と泊まる場所を別に借りて、昼間はメンバーと一緒に過ごすからと申し出た。
それでもやっぱり、何となくよくわからない理由でダメということになってしまった。結局、彼は参加しなかった。メンバーにとっても後味のいいものではなかったが、この一件のおかげで、メンバーの多くが自覚していなかった、「ビーチに戻る会」の本質と目的が浮かび上がってきた。揉めごとによって集まりの目的があきらかになることはよくある。