効果が大きいのは「税引き前」

所得税を課税グループ別でとらえる以外に、湊氏がビジネスマンに意識してほしいというのが、「税引き前」という見方だ。会社員が手にするお金は、基本、税金が天引きされた後のもの。しかし大きな節税効果を狙うなら、税引き前のキャッシュフローをコントロールすることが大事なのだという。

ビジネスマンが扱える「税引き前」のお金といえば、ここ数年推奨されている副業で得た収入になる。たとえば英文の翻訳で100万円の売り上げがあったとして、資料や辞書の購入、翻訳講座の受講費など、経費として認められる使い方で100万円を使い切ってしまえば税金はゼロになる。

「もちろん同時にその年の所得もゼロになりますが、この年に経費をかけて自己投資したことが、次年度以降の売り上げ増につながる可能性も出てきます。つまり、税と向き合うことが今後のビジネス戦略や、仕事との向き合い方、ひいては人生設計の計画にもつながっていく。それが後の大幅な収入増になる場合も少なくありません。ゆくゆくは大きなリターンが得られる節税となるのです」(同)

資産2億円までなら相続税はゼロに?

「相続税を払うのは一部のお金持ち、という感覚はひと昔前の話。相続税の基礎控除は以前に比べて4割も縮小されています」

こう語るのは税理士・公認会計士の高橋敏則氏だ。現行制度の基礎控除は「3000万円+600万円×法定相続人」。総務省統計局の調べによると、高齢者世帯の貯蓄現在高は2017年で1世帯あたり2386万円、中央値は1560万円。土地や建物など不動産の評価額を足せば、控除枠を超える家庭は少なくないだろう。

「とはいえ、相続税は節税の余地がかなりあります。あくまでも目安ですが、資産2億円くらいの資産家なら、節税対策で相続がゼロになることも珍しくありません。ただし、対策のほとんどは被相続人が亡くなる前に行う事前対策です。相続は被相続人が死亡した瞬間に始まりますが、そこから対策を取っても手遅れの場合が多い。とにかく早め早めに手を打つことがポイントになります」(高橋氏)

まず何から始めるべきか。基本は、いかに相続財産を減らすかだ。息子や娘へ財産を移転して、生前のうちにできるだけ多くの贈与をすることが鍵となる。

「贈与税は、もっとも税率の高い税金。だから贈与をする場合は、まずは贈与税が非課税になる特例制度を優先して活用すべきでしょう。なかでも『住宅取得資金の贈与税特例』は、今回の消費増税対策のひとつとして、期間限定で非課税限度額が大幅にアップしています」(同)