「犯罪的営業を組織ぐるみでやっている印象を与える」

保険の不正販売に揺れる日本郵政グループで、新たな問題が明らかになった。かんぽ生命保険の不正販売を2018年春に報じたNHKの番組に、日本郵政側が強硬に抗議。コーポレートガバナンスが効いていないなどと追及されたNHK側が、日本郵政側に謝罪し、続編番組の放送を断念していたというものだ。なぜ、日本郵政の抗議に、NHKは「弱腰」の対応をせざるを得なかったのか。

写真=時事通信フォト
かんぽ生命保険の不適切販売問題で記者会見する日本郵政の長門正貢社長=2019年7月31日、東京・大手町

番組は2018年4月に放送されたNHKの「クローズアップ現代+」で、今まさに問題になっているかんぽ生命保険の不適切な営業実態を取り上げた。日本郵政グループを揺るがす大スキャンダルを報じた嚆矢こうしだった番組である。

NHKは番組終了後に続編の放送を目指して、ツイッターに情報の提供を呼びかける動画を投稿していた。その動画に対して日本郵政が「犯罪的営業を組織ぐるみでやっている印象を与える」ものだと抗議したという。NHK側は「番組制作と経営は分離し、会長は番組制作に関与していない」旨を説明したが、今度は逆に日本郵政から、NHKのコーポレートガバナンスが効いていないと指摘されたという。結局は動画を削除して、続編もいったん延期したという。