【Before】
(1)一見して読む気が萎える。商品そのものの写真では、なにもわからない。使い方や特徴が一瞬で読み取れる提案書を目指すべきだ。
(2)たしかに「フロッピーディスク事業」を手がけるなど当社には他社にない技術的背景がある。だがそれを誇っても意味はない。技術的違いをどうやって商品的違いに落とし込むか。それが肝心だ。
(3)見込まれるニーズに対してどうやって食い込むのか。上司はそこを見ている。もう一歩、消費者の側に踏み込んだ提案が必要だろう。
(4)データは最も視覚化しやすい部分だ。数字の羅列は「意味がない」と思うぐらいがいい。
【After】
(1)機能だけでなく情緒にも訴える…尾﨑社長は「情緒価値」という概念の大切さを繰り返し訴えている。開発側は「当社比○倍!」などと自分たちの成果をアピールしたがる。消費者の心を動かすには商品の本当の価値はどこにあるかを掘り下げ、コピー案に落とし込むことだ。
(2)意味のあるビジュアルを…花王はスライドの作成数では日本一の会社だろう。会議のときには資料を紙では配らず、必ずスライドで投影する。それにより情報量は自然と絞り込まれる。写真を1枚見ただけで、「温かくなる」という商品特性がわかるように工夫するといい。
(3)「習慣」に入り込む手だてを簡潔に…商品とは、消費者の「習慣」に入り込んだものでこそ毎日使ってもらえる。ターゲットやコンセプトの説明をしながら、習慣に入り込む手だてを書くことが求められる。
(4)仮説なき調査はただの無駄…リサーチは発売の前後を問わず非常に重要。だが、調査する側に「仮説」がなければ無駄になる。「場所を問わない」という新しい使われ方を「想定」しておくことは有意義だ。
(永井 浩=撮影 山田清機=構成 星野貴彦=事例作成)