本来のシャンプーの目的に立ち返った「レヴール」

メーカーでもなく小売でもない、新興企業の同社が、化粧品業界で急成長を遂げた背景には、東急ハンズやマツモトキヨシ、セイジョーなどといった化粧品小売店との強いパイプがある。小売店から情報を集め、消費者のニーズをつかみ、いち早くヒット商品を世に送り出すことにつながったのである。

旧社名のジャパンゲートウェイの名を世に知らしめる大ヒット商品となったのが、2010年10月に発売されたノンシリコンシャンプー「レヴール」だ。

従来のシャンプーは、髪の手触りをよくしたり、光沢を出したりするための成分の1つとしてシリコンが含有されているものが主流だった。同社は、「汚れを落とす」という本来のシャンプーの目的に立ち返り、髪に負担をかけるコーティング剤「シリコン」を含有させない新商品、というかたちで「ノンシリコンシャンプー」を売り出したのである。

「レヴール」は、発売するやいなや大ヒット商品になった。若手人気女優たちを起用した大規模な広告キャンペーンを展開、頻繁に放映されるテレビCMで認知度を高め、「1.5秒に1本売れているノンシリコンシャンプー」として一大ブームを巻き起こした。

同業他社の参入で落ち込んだ売れ行き

この間、業績は倍々ゲームで伸びた。2011年5月期に61億円だった年売上高は、翌2012年5月期には135億円に倍増。2013年5月期は217億円にまで拡大した。複数の著名な大手小売チェーンを通じた約1万5000店の販売網を生かし、この頃にはシャンプー・リンスの販売実績で国内トップ5に入るまでに急成長を遂げた。

ところが翌年に入ると、この輝かしい歩みに急速に陰りが見え始める。2014年5月期には年売上高300億円超えも視野に入れていたが、結果は前期比23%の大幅減収となる166億円に急減したのだ。

原因は、同業他社が「ノンシリコン」をうたった類似商品を次々と投入したことだった。競争が激化する中で差別化が図れなくなり、店頭での売れ行きが落ち込んだ。「売上増」を見込んで生産していたために、期末在庫が大幅に膨れ上がった。そこへ加えて多額の広告宣伝費も重荷となり、赤字決算に終わったのである。

同年7月には、過年度にわたる約3億円の所得隠しを東京国税局から指摘され、重加算税を含む追徴税1億円の支払いを余儀なくされた。これにより対外的な信用が悪化し、消費者には買い控えの動きも見られたために、多額の在庫を抱え込むことになる。