ヘアケア製品事業は別会社が引き継いだ
2016年5月期の年売上高は、81億円と大幅に業容が縮小。同年末には別途、新会社「ジャパンゲートウェイ」に仕入れ・商品管理等の事業を譲渡した。
新会社は製品の営業委託を受けていたが、さらに2017年末、新会社が大半の事業をRIZAPグループの子会社(後に「ジャパンゲートウェイ」に商号変更)に譲渡する。
こうした一連の再編を進める中で、2018年春頃までに全従業員を解雇し、社名を「室町販売委託」に変更したうえで、ついに6月27日、破産手続き開始決定を受けた。なお、室町販売委託が破産前に事業を譲渡したジャパンゲートウェイ(コンタクトレンズ販売業など)は、その後も通常通り営業を続けている。
一方、RIZAPグループ下のジャパンゲートウェイ(室町販売委託から「レヴール」を含むへアケア製品事業を引き継いだ別会社)は2019年1月、投資会社の萬楽庵(愛知県名古屋市)に譲渡されている。萬楽庵の会長は、テレビ通販「ショップジャパン」を運営するオークローンマーケティングの創業者であり、ジャパンゲートウェイの化粧品事業は、今後、オークローンマーケティングが新規展開する美容・ヘルスケア通販事業へ取り込まれていくと予想される。
経営陣の派手な生活ぶりが反感を招いた
急成長から一転、業容縮小の末に破産した今回の事例からは、急成長中の新興企業が陥る“5つの落とし穴”が浮かび上がってくる。
1つ目は、会社の成長スピードに資金繰りが追いつかなくなること。
本事例でも、売上がピークを迎えた2013年5月期以降、資金繰り悪化を示唆する情報が複数流れた。資金需要が増す中で、業容の拡大と資金調達のバランスがひとたび崩れると、当座の資金繰りの問題に発展しかねない危うさがある。
2つ目は、内部管理体制の強化・充実が後手に回ること。
今回の事例では、2014年7月に東京国税局から所得隠しを指摘されるまで、内部体制の強化に本腰を入れて取り組むことはなかった。
3つ目は、経営陣の派手な生活ぶりが取引先の離反を招くこと。
企業が創業期から成長期にシフトし、一定の規模に達すると、経営幹部はそれなりの報酬を手にするようになる。しかし幹部の放漫な生活態度が、取引先関係者の反感を招くようなことがあってはならない。本事例でも、会社の絶頂期に「高級外車のポルシェを乗り回し、多額の役員報酬を受け取っていたようだ」(地銀関係者)と伝わる経営陣に対して、批判的な見方が少なくなかった。