「寄り道、はみ出し人生」はまだまだ続く

しかし、最近、ようやく母としての自分にも自信がついてきたという。

「つい最近、妹や母が、『すごくよくやっていると思うよ。仕事と両立して、息子の面倒もよく見て』と言ってくれたんです。確かに私は私なりにがんばってきたのかもと思うと、ふっと心が軽くなって、不思議と息子との距離も縮まった気がします。最近、息子が書いた作文を読んだら、彼が母子家庭の境遇に特に劣等感を抱いていなかったことがわかりました。作文の内容は、息子が『うちお父さんいないんだ。お母さんがうちのお父さんだから』と友達に言うと、周りが(お父さんのことを聞いてしまって)ごめんねと言うのが不思議でしかたない――というものだったんです。加えて、私のことを学校で『自慢のお母さん』といったように話してくれていることも耳にして、ようやく少しだけ自分を肯定できました。仕事でも、成功しているように見られますが、自分に自信が持てるようになったのは50歳手前になってから。ここ最近なんですよ」

今は、子育てなども含めて、これまでの経験を生かして、部下を育てることに大きなやりがいを覚えているという。「これまでは自分のキャリアをどう作るか、ということに集中しなければならないところがありましたが、今は、兄弟姉妹のように思う部下が力をつけ、成長する姿を見るのが何よりの喜び」と語る。

今後もまた違う景色を見てみたい、と目を輝かせて話す。

「コミュニケーションのプロとして培った人材の育成・開発の知見を活かし、日本の企業文化を変えていく、活性化していくお手伝いをしていきたいですね。『寄り道上等、しくじりもっと上等』そんなメッセージを多くの人に伝えていきたい」

林原さんの「はみ出し人生」はまだまだ続きそうだ。

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