ANAにとってハワイ便は「JALの最後の牙城」

多くの便の中でお勧めは、羽田空港で遅い出発時間となるハワイアン航空とANAの便だ。現地への到着時間が昼になるため、ハワイ到着一日目の就寝までの時間が短い。日本からだけでなく、アジア各国からの到着便が集中する時間を過ぎているので、入国審査は比較的スムーズだ。ダウンタウンに到着する頃にはホテルのチェックインが可能で、そのままゆったり部屋で過ごせる。21時半以降のフライトなので、仕事を終えてからフライトすることも可能だ。

ハワイ便では、ANAが新規就航させた「世界最大の座席数」を誇るエアバスA380が注目を集めている。この機材でANAの提供座席数は一気に1.5倍となる。経営的にはかなりの決断だが、なぜANAはハワイにこれほど力を入れるのだろうか。

ANA A380 FLYING HONU
画像提供=ANA
ANA A380 FLYING HONU

それはANAにとってハワイ便は「JALの最後の牙城」だからだろう。ANAは国際線の進出ではJALに大きく後れを取ってきた。その巻き返しのため、ビジネス路線に絞って力を入れてきた。その結果、海外のビジネス路線ではJALのシェアを上回るほどに成長している。そこで次なる戦略としてリゾート路線を攻めはじめている。ハワイ便は伝統的にJALが強みをもっているため、だからこそ大型機材の投入で勝負をかけたのだろう。

これからはANAとJALを中心に、ハワイ便でサービスや価格を巡る激しい競争が繰り広げられる。ハワイ便の利用者にとっては望ましいことだ。旅行先にハワイを選ぶ人も、さらに増えることが予想される。

羽田で増便予定の4社のうち2社がホノルル線を希望

ハワイは旅行者にとってはポテンシャルのある観光地だ。常夏の場所だがハワイ島ではスキーもできる。大自然が残された上に、リゾート地に求められる海と山でできるアクティビティは全てそろっている。

利用者の立場からすると、各空港から遅い時間帯の出発便を増やしてほしいものだ。いまの時間帯では仕事を終えてから搭乗する選択肢は限られている。

東京五輪を前に、日本政府は羽田空港の発着枠の半分をアメリカの航空会社に振り分けた。その結果、増便予定の4社のうち2社がホノルル線を希望した。ハワイ便をめぐる競争はどんどん激しくなっている。日本人にとってはより身近な場所になる可能性が高いといえるだろう。

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