いまの「霞が関エリート」に欠けている要素とは

私の世代でも「女は大学を出ても、就職できないから意味がない」と言われていた。「4大に行くより、短大に行ったほうが就職できるからいい」と。その結果、働く場がないのだから、女性は教育を受けても意味がないという考え方が刷り込まれていく。

赤松さんは、男女雇用機会均等法という一つの法律を作ることで、こうした考え方そのものを変えようとした。赤松さんの中には常に、ご自分のお母さんやお姉さんへの思いがあったんだと思います。涙をこらえて生きた名も無い女性たちへの思いが。そこに人間としての深みを感じました。いまの霞が関エリートには欠けている要素だと思います。

——女性たちの時代をたどった今だから、読者に伝えたいことはありますか?

原点を知ってほしい、ということです。いまの女性たちも、多くの困難な問題を抱えていますが、それでも女性を取り巻く状況はだいぶ良くなっていると思うのです。それは当たり前のことではなく、先人の努力のおかげ。男社会の壁に立ち向かい、風穴を開けてくれた彼女たちがいるからです。

彼女たちの思いがどこにあったのかを知ってほしいなと思います。みんな目立ちたくてやったわけではなく、おかしいこと、違うと思うことに、たった一人であっても立ち上がり変えていこうとした。そこは忘れてほしくないですね。(文中敬称略)

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