何かを「諦める」勇気が必要
企業危機管理に関わる人でも、「謝罪会見で風向きを変えよう」という勘違いをしている場合が多い。謝罪会見とは開いた時点で「負け」なものだ。それがわかっていない企業ほど、自分たちは正しいと主張をする。そのスケベ心や自己保身が炎上を招くのだ。
必要なのは「いい負けっぷり」を見せることである。そのためには犠牲が必要だ。世間に前向きなメッセージを伝えるためには、何かを諦めなくてはいけないのだ。
今回の会見で、吉本は何も諦めようとしなかった。だから、5時間もダラダラと喋っても「無駄」「やらないほうが良かった」となってしまったのである。
これはたとえるなら、不倫がバレたのに、家族も大切だし、愛人との関係も続けたいというオッサンと同じである。そんなオッサンが喋ることは誰も信用しないし、誰も擁護をしてくれないのは当然なのだ。
企業経営者、そして広報や危機管理の方は、吉本のような窮地に立たされた時、ぜひ「何かを諦める」という勇気を持っていただきたい。
窪田 順生(くぼた・まさき)
ノンフィクションライター
1974年生。テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者等を経て現職。報道対策アドバイザーとしても活動。数多くの広報コンサルティングや取材対応トレーニングを行っている。著書に『スピンドクター“モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)、『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)など。
ノンフィクションライター
1974年生。テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者等を経て現職。報道対策アドバイザーとしても活動。数多くの広報コンサルティングや取材対応トレーニングを行っている。著書に『スピンドクター“モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)、『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)など。
(写真=時事通信フォト)