真正面から論じている新聞社がどれくらいあるのか
この措置の必要性を真正面から論じている新聞社がどれくらいあるのか。自らの業界は増税の痛みを免れている環境で、消費税の増税についての賛否を論じることができるのだろうか。いよいよ増税となったとき、新聞社自らが軽減税率の適用の必要性を訴えかけることを待ちたい。が、業績悪化などから権力への迎合が強まっている日本の大手メディアはジャーナリズム精神を失いつつあり、そんなことを国民が期待するのは無駄なのかもしれない。
今回は前回よりも引き上げ幅が小さい2%とはいえ、米中貿易摩擦に端を発する世界経済の不透明感もある。実際に中国の4~6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)は前年同期比6.2%増で、1~3(第1四半期)の6.4%増を下回り、四半期データを開始した1992年以降で最も低い成長率となった。また、韓国への輸出規制や、それに反発する韓国内での日本製品の不買運動も見過ごせない。
自民党関係者は「外交政策のすべてが行き詰まるなか、憲法改正もできず、いわゆる“アベトモ”の反対を押し切って消費増税を進めた安倍晋三総理。経済が停滞すれば、総裁任期満了を見据えた政権のレイムダック化が進むのは間違いない。そのせいか、安倍政権の負の遺産を整理しなくてはいけない“ポスト安倍”への意欲が、菅義偉・岸田文雄両陣営とも減退し、本当に困ったら石破茂でいいと言う声まで出る始末」と話す。(文中敬称略)
(写真=時事通信フォト)