平成を代表する経営者・稲盛和夫。「利他の心」から発した数々の挑戦は、現在のKDDIの創業など卓越した成果を残している。そのエッセンスはどこにあるのか。稲盛氏を知る3人に聞いた。第2回は、側近中の側近といわれ、現在は日本航空会長補佐を務める大田嘉仁氏――。(全3回)

なぜ話すだけでなく行動で示すか

JALの再建に稲盛さんが乗り出された当時、社内には若手を中心に稲盛さんを歓迎する声もありましたが、幹部クラスに限れば懐疑論のほうが強かったと思います。しかし彼らも次第に心を開き、稲盛さんを中心に強い一体感のある会社になりました。再建2年目には営業利益が過去最高の2049億円を超え、再上場を果たすこともできたのです。

稲盛さんは、そのために何をされたのでしょうか。講演や著書で述べられているとおり、一言で言えば、すべての従業員に対する愛と感謝の気持ちを言葉にし、行動で示されたのです。