なぜ5年前の改革は失敗したのか

6月19日に中国人民銀行は、「人民元為替相場形成メカニズムの改革を一層進めて、人民元為替相場の弾力性を強める」ことを発表した。6月19日に6.83人民元/米ドルであったところ、7月10日までには6.77人民元/米ドルまで人民元が米ドルに対して切り上げられた。その切り上げ率は、3週間で0.9%である。2005年7月21日の人民元改革発表直後の2.1%に比較すると小さいことがわかる。

中国の経常収支黒字の増大および外貨準備残高の急速な蓄積(それがさらに中国国内の資産価格バブルを加速すること)を踏まえて、すでに05年7月21日に中国政府は、人民元を対米ドルに対して2.1%切り上げるとともに、それまで採用していたドル・ペッグ制度(人民元を米ドルに固定する為替制度)をやめて、通貨バスケット(米ドル、ユーロ、円など)を参照とした管理フロート制度を採用すると発表した。しかし、その発表以降、人民元は米ドルに対して徐々に切り上げられていったが、通貨バスケットの他の構成要素通貨であるユーロや円などに対しては大きな変動を示していた。さらに、08年7月21日以降、中国人民銀行は、人民元を米ドルに固定させるドル・ペッグ制度に戻していた。このような経緯を経て、中国人民銀行は再び通貨バスケットを参照とした管理フロート制度の下で人民元相場の弾力性を高めると発表した。中国政府が5年前に発表した、通貨バスケットを参照とした管理フロート制度を今度こそ実行しようというのが、中国人民銀行の今回の発表である。