イランと本格的な戦争に突入する意思はない
しかし屈強なイランと本格的な戦争に突入する意思はないし、大統領選挙も不利に働く。従ってイランに対しては寸止め。それでも「オレは言うことは言った。国連やイラン合意では核開発は止められない。だからオレがイランにタガをはめてやった」と自分が主役の物語にできれば選挙を戦えるのだ。
前回の選挙戦を含めて3年近く見てきたトランプ劇場はあまりにチープだ。アメリカは世界の指導者ではなく単なる脅し屋。しかも、世界の合意した枠組みをいとも簡単に破棄、離脱。損得だけで判断すると「日本は貿易で儲けていて防衛費の負担が少ない。ホルムズ海峡などをアメリカが守ってやる必要はない」と言うに及んで、いよいよ幕引きの引導を渡すときがきたと世界は感じている。アメリカの選挙民もそろそろトランプ劇場を見飽きたと感じているだろう。これがあと1年半後の大統領選挙で形となって現れてくることを祈りたい。
(構成=小川 剛 写真=AFP/時事)