早めに気付いて努力した人がプロ経営者として輝いている

プロ経営者と呼ばれる人たちが、それまで1つの会社の経営で培ったノウハウを新しい世界に適用していく際にも、メタ認知が重要になります。ある会社で仕事をしながらも、「他社だったらこうすればいいな」「グローバルに応用するにはこうすべきだろう」とより高い見地から立ち位置を考えたり、「一社だけ栄えてもだめだ。経済全体をよくするにはどうすればいいか」といった問題意識を持つことで、1つの会社で磨いた能力が他業界でも活用できるようになってきます。

公立諏訪東京理科大学情報応用工学科教授 篠原菊紀氏

ビジネス誌を読むときや異業種交流会に参加する場合でも、「他の業界の成功パターン、失敗パターンを知って自分の業界に生かすことができないか」という意識で臨んでいる人にはそれに応じた学びがありますが、ただ漫然と読んだり参加したりするだけの人には何の気付きも生まれません。

そして大事なことは、こうした意識は素質というより、訓練によって身につけられるスキルだということです。生まれつきメタ認知ができる人がいるのではなく、以上のような構造に早めに気付いて努力した人がプロ経営者として輝いているのです。

諏訪東京理科大学では茅野市の1300人の流動性知能を横断的に調査し、加齢による変化を調べた研究を行っています。

流動性知能は小学1年生の段階ではばらつきが大きく、中学3年生くらいになると、ばらつきが減りつつ平均値が上がっています。20歳前後でピークとなり、年を重ねるにつれて落ちていくのですが、注目すべきは「高齢になって流動性知能が落ちるときは個人差が非常に大きい」という事実です。70歳、80歳でも20代の平均と変わらない人もいれば、ずっと低くなってしまっている人もいるのです。