年収400万を得るには2人の労働力が必要

年間2000時間の労働時間というと、サラリーマン的には「週休2日で、勤務日のうち大半の日が定時で帰ることができる。つまり、残業はあまりない」くらいの労働。そこで得られる収入は、地域や栽培品種にもよるが、年間200万円前後になる。

年収400万円を目指そうとすると、年間労働時間は4000時間になる計算だ。これは普通の人間では耐えられないレベルの労働時間になる。いわゆるブラック企業でも、ここまで労働時間は長くなることはそうないだろう。

だから、イチゴで年収400万円を得ようとすると、2人の労働力が必要となる。当然、人を雇うと人件費がかかる。人件費をかけたくないのなら、夫婦や親子で取り組むなどしないと年収400万円にはならないということだ。

「だから6次産業化(※)して、より高い利益を得ようと考えているのです」と反論したくなるかもしれない。

※6次産業化=生産だけでなく、作物を作った加工食品を作ったり、消費者に直接売ったりすることをいう。農業だけでは儲からないから、農作物を使って儲けている関連業界に進出して利益を取ろうという考え方

しかし、その時間はいつ取れるのか?

商品が売れる見込みはあるのか?

安易に6次産業だといって、ジャムやアイスクリームなどを作り、失敗している農家は全国にたくさんある。就農支援機関のアドバイザーは、そういった例をいくらでも知っているのである。

「机上の空論」でもアドバイザーは納得する

一方で、きちんとした経営計画書を作っていくと、どのような扱いを受けるだろうか。たとえば、「イチゴを30アールやりたいんです」と言って、こんなことがわかる経営計画書を出したとしよう。

・イチゴの品種と作型
・「単位収量(10アール当たり収穫量)10アール当たり500キロ」とキログラム当たりの単価1000円で想定売上を算出
・同様に経費を算出して所得を計算すると10アール当たり所得が200万円で30アールやるから収入は3倍の600万円くらい
・想定労働時間は年間約7000時間。家族3人でやり、それでも作業が回らないほど忙しいときには、人を雇う。人件費を50万円とみるとイチゴで年収550万円
・イチゴが忙しくない時期には、ちょうどその時期が一番忙しくなる作物を作って収入増にはげむ。これで150万円くらいいけそうだからトータル700万円の収入になる見込み

このように、きちんとした経営計画があれば、就農アドバイザーは1分もかからずに、全体像を理解してくれる。そして、おそらくこう言うであろう。

「この計画は、どうやって作られたのですか?」

こう聞かれたら、正直に「本を読んで書き方を勉強しました。そしてインターネット上にあるA県のイチゴの経営指標を参考にして書きました」と答えれば問題ない。本やインターネットといった、いわば“机上の空論”で書いたものでOKであるということだ。それで十分にアドバイザーは納得する。