失敗を冷静に分析し、妄想の連鎖を止める

シンプルに考えてみましょう。ここで起こった事象は「自分が報告をしないで仕事を進めた」という、ただそれだけのことです。そこに感情を乗せてはいけません。失敗は失敗として、その事実をいったんそのまま受けとめる。そうした上ではじめて、今後同じ失敗をしないための方策を考える。

失敗した事実を受けとめ、次回失敗しないように冷静に分析して対処法を考えるのです。そこを切り分けて書き出してみるといいでしょう。

ストレスは、想像や妄想、思い込みによって大きくなっていきます。失敗は失敗として、その事実を受けとめる。そのあとで、失敗を防ぐ方法を考える。失敗した事実を受けとめ、次回失敗しないように冷静に分析して対処法を考える習慣を心がけてみましょう。

誰かの発言や態度にショックを受けたら、まず一番最初に、事実と想像に分けて分析してみましょう。紙に書き出すことも効果的です。スマホのメモ機能を活用してもよいでしょう。そのように考えていくと、たいていのことは「妄想」にすぎないとわかってきます。冷静さを失ってしまったときは、一度考えをクリアにすることによって、思考の連鎖を止めることがとても重要です。

「これは自分の手に負えない」と知ることも大切

さて、ここまで「自分でストレスを管理しよう」というテーマでお話を進めてきましたが、場合によっては自分で管理できないストレスがあるのが現実です。

いくら言ってもまったく仕事をせず、反省するそぶりもない同僚。保身のために、平気で嘘をつく上司……。会社や学校、サークルなど、何かのグループに所属していると、「え?」と思うような人に出会うことがあります。

多くの場合、しっかりとコミュニケーションをとることで、人間関係が改善していきますが、その人や、あるいは会社自体の根本的な体質に問題があると、一向に改善しません。むしろちゃんと接しようとするほどに、逆効果になることがあります。

こういう場合に、果たしてその問題を、自分の努力で乗り越えようとし続けなければならないのでしょうか。むしろ、「これは自分の手に負えない」と認識することが必要不可欠となります。

・長時間残業なのに、給料が支払われない
・パワハラが横行している
・上司が不正を強要してくる
・子供じみたいじめを受けている

こうしたいわゆる「ブラック企業」に漫然と勤めていると、やがてそれが当たり前なのだと思えてくる、一種の洗脳状態に陥ってしまい、自分自身の置かれている状況が客観的に見えなくなります。そのような状況が長期化すれば、場合によってはうつ病などの精神疾患を発症し、最悪の場合自殺に追い込まれる、ということもありえます。病気になってしまうと、その症状のために物事の見え方が歪められ、冷静な判断がとても難しくなるからです。