理論から捉える理入、実践から理解する行入

マインドフルネスを実践するには、「理入」と「行入」の2種類の心理的アプローチの両方をバランスよく取り入れることが大変重要になります。

ひとつ目は理論、知識から理解する「理入」です。自分の考え方のクセに気づき、雑念を手放し、目の前にある事実をありのままに見つめます。たとえば、「いつも自分はこういうときにカーッとなるな」と、自分自身を振り返ること、これも理入です。

2つ目は実践、行動から理解する「行入」です。座って瞑想する、呼吸を整える、歩く感覚に集中するなどのアクションを行い、今この瞬間に集中することです。

たとえば、息をゆっくり吸って、吐いて、という基本的な動作に意識を向けたり、お茶を入れる、お菓子を食べる、その動作ひとつひとつに関心を向けたりする。これも立派なマインドフルネスです。マインドフルネスを生活に取り入れると、よけいなストレスを取り払い、脳をクリアにすることができるようになるのです。

目の前のことに集中する習慣を取り入れると、「あの人にどう思われているか」「いくらやっても終わらない」などの雑念が起こりにくくなります。すると、切り替え力と集中力が高まり、必然的に生産性があがり、自信がつくようになります。

“怒られた”事実と、“嫌われた”想像は区別する

怒られた、叱られた、指摘された、というとき、頭にかーっと血が上って、ノーマルな状態でものが考えられなくなる、ということはありませんか?

「バカだという烙印を押された」「また失敗してしまった」「できない奴だと思われて、見限られるかも……」「嫌われているのかもしれない……」

萎縮して、怒られたという事実だけをずっと引きずってしまう。そういうときは、「事実と想像を切り分ける」ことが平常心を取り戻すポイントです。「平常心」と書いて、禅では「ビョウジョウシン」と呼びますが、平常心はつまり、どういう状況においても本来の自分でいられるということです。平常心でいられれば、パフォーマンスにブレがありません。

たとえば、上司から「なんで報告しないで、この件を勝手に進めたんだ!」と言われたとします。ここで事実は、「必要な報告をせずに、勝手に仕事を進めた」ということ。

「上司は自分を否定している、自分のことを見損なったのでは」と思うのは想像です。これを禅の言葉では「妄想(モウゾウ)」と言って、平常心を妨げる心の在りようを意味します。