企業の採用も、学生も就活も「三田会」で恩恵を得ている

三田会が別格な点はほかにもある。それは就職活動に関してだと田中さんは言う。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/mizoula)

帝国データバンクが昨夏発表した「全国社長出身大学分析」によれば、上場企業社長の出身大学別ランキングで、1位が慶應義塾大学260人、2位が東京大学と早稲田大学の172人だった。田中さんによれば「1999年以降はずっと慶應大がトップ。企業には社長だけでなく慶應大卒の有能なビジネスパーソンが数多く存在し、こうした企業内の慶應閥(三田会)は強力な力を発揮しています」という。

その力は、採用時にも働き、慶應大卒の学生は他大の学生に比べ優遇される場面も多いそうだ。

「2000年代前半の就職氷河期には、就活に大苦戦している自分のゼミの学生を見かねた担当教授が三田会を通じて相談したことで、一度落ちた企業に再挑戦でき、内定をもらったといった事例もありました。一方、売り手市場の現在は、企業側がさまざまな三田会の関係者を通じて、有能な慶應大の就活生を囲い込み、青田買いしてしまおうという動きがあるようです」(田中さん)

企業も学生も、上手に三田会のネットワークの恩恵を互いに享受しているというわけだ。

三井物産、三菱商事に入社する学生の出身校が慶應断トツのワケ

『プレジデント』(2018年10月1日号)によれば、「18年春に大手商社やメガバンクなどに入社した社員の出身大学で1、2位を占めたのは主に早慶」で、とりわけ三井物産、三菱商事など日本を代表する商社では慶應が断トツだった。

これは、「かつて慶應創立者・福澤諭吉の弟子たちが三井、三菱といった財閥に入り、積極的に慶應大出身者を雇い入れた結果、慶應閥が組織されたという経緯がある」(田中さん)ことが関係しているとみられる。

100年以上も続いているこうした大企業と慶應の絆は、この先ますます太くなるようにも思えてくる。今後、就職事情が悪化したとしても慶應卒というのは就活市場で大きな武器になるのだ。

(写真=iStock.com)
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