「ラーメン二郎」店主が参加した「連合三田会」がヤバい

中でも年に1回、10月に日吉キャンパスで開かれる「慶應連合三田会大会」は最大規模の三田会イベントだ。入場者が毎年数万人にもなる、塾員のための盛大な「お祭り」である。

塾長をはじめ、OB・OGの政財界の要人、芸能人も参加し、ライブや出店、講演会などでにぎわう。

また参加者は慶應出身者に限らない。たとえば2016年には三田キャンパスそばにある「ラーメン二郎」三田本店・店主の山田拓美さんのトークショーが行われた。山田さんは慶應義塾大学の卒業生ではない。なお慶應には卒業生からの推薦があれば「塾員」になることができ、山田さんは2018年度より塾員にもなっている。

昨年度の「慶應連合三田会大会」の景品例。『プレジデントFamily』2019夏号より。

さらに連合三田会を象徴するのが、「福引抽選会」の景品の豪華さだ。2018年の景品は高級車(メルセデスベンツなど)、高級時計、真珠のアクセサリーや160万円相当の旅行券などだった。

たくさんの企業や個人による協賛金やチケット収入を合わせると、運営費用は数億円に上るとみられている。それを切り盛りするのは広告代理店などではなく、ボランティアの塾員だ。どの塾員も多忙な仕事の中、手弁当で臨んでいるという。

「三田会」を通じて慶應OBは人脈をどんどん広げる

三田会のメリットとして最も大きいのは人のネットワークが広がることだろう。

「さまざまな年代の卒業生と知り合い、ざっくばらんに語り合うことで、結果的に情報交換ができ、人脈がぐんと広がります。同じ塾員という信頼感や安心感があり、警戒感のようなものを抱きにくいです。そのためか、自然とビジネスのお付き合いに発展することも少なくありません」

そう語るのは、1990年度に大学の経済学部を卒業したタチバナ産業社長の野原将彦さん。卒業年度の「1990年三田会」(愛称・キューマル三田会)と、会社がある東京都台東区の「台東三田会」などに参加している。

三田会や連合三田会で知り合った塾員同士で食事したりゴルフコンペしたりする中で、包装、梱包といった物流加工を手がける本業に加え、今、力を入れている紅茶の企画・販売の仕事にもそのネットワークが役立っているという。

「『連合三田会大会』で幹事を務め、綿密な準備・運営をするのは、大学卒業後、10年目、20年目、30年目、40年目の学年というルールで、なかでも、最も重要な責任を負うのが大卒30年目の代で、20年目の代がそのサポートをします。連合三田会大会には、私は20年目から参加しています。ここで出会った仲間にうちの商品を応援してもらったり、一緒にコラボ商品を作ろうということになったりして、非常にありがたいことです」

また、卒業後25年目の年には、その年の大学の卒業式に招待される仕組みがあり、寄付金を集めるのが通例となっている。野原さんの代は約5200万円も集まったとか。こうした活動で野原さんが何よりも得難かったのは「それぞれの分野で、第一線で活躍している同期と再び会え、刺激を受けられたこと」だという。

ちなみに寄付金の使い先は、経済的に苦しむ学生の奨学金として活用してもらったそうだ。