猫の「事情」は包み隠さず話す

カフェでの活動に加えて、梅田さんは、百貨店やデパート、ホームセンターなど、これまで考えられなかったような場所や企業を巻き込んだ、国内最大級の保護猫の譲渡会も行っている。

この日の会場は北欧家具量販店のイケア。休日には若いファミリー層が集まるという点に目をつけたという。1匹でも多くの猫に家族ができるように、猫カフェやシェルターの猫、外で保護された猫も含めおよそ40匹が集められた。

【梅田】「ご高齢の方がもう飼いきれないと言うので茨城のセンターに入りました」

梅田さんは、訪れる人たちへ、猫の“事情”を包み隠さず話すようにしている。その上で、譲渡が決まれば、かかった医療費だけをもらう。

猫と同時に人間が幸せになればいい

新しい飼い主が決まり実際に猫を譲渡する時は、どんなに遠くても自ら飼い主のもとへ届けるようにしている。

この日はあの隻眼の黒猫、ゆんが新しい飼い主のもとへ行く。譲渡には2週間のお試し期間を設けており、猫との「相性」を確認できるようにしている。

【梅田】「よろしくお願いします」

実はゆん、一度引き取り手の家とうまくいかずに戻って来た経験がある。この日も、ケージから出した途端、家具の裏側に逃げ込んでしまった。

【新たな飼い主】「怖いのかな……」

新しい飼い主は、ゆんが片目なことを気にしないのだろうか。

【飼い主】「むしろ片目が不自由なのに一生懸命生きているってところに勇気をもらって感動したんです。もともと黒くてかわいい子だなと思ってたんですけどね」

2週間後、すっかり新しい家になじんだ、ゆんの写真が届いた。新たに「いろり」と命名されたそうだ。いろりは周りをあたたかくする。家族の願いが込められた名前だった。

【梅田】「当然、猫の幸せを願っての活動なのですが、同時に人間が幸せになっていただければこれ以上のことはないと思ってやっています」

さて、この日は生後2カ月の子猫たちがカフェデビュー。すっかり一人前だ。救った猫たちが、今日も誰かの心を救っていく。

生後2カ月の子猫たちがカフェデビューした
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梅田達也(うめだ・たつや)
保護猫カフェ店主
1972年東京生まれ。子どもの頃から大の猫好きで、小学校の作文では「大きくなったら保健所にいる猫を救いたい」と書いていた。明治大学法学部を卒業後、外資系の流通企業に就職。2011年に退職し、2013年保護猫カフェ「ねこかつ」をオープン。現在、埼玉県川越市とさいたま市の2店舗で料金は1時間1000円。平日の客は20人ほどだが休日には70人~80人の客が訪れる。猫の世話や相談に追われて気づけば深夜になりそのまま店で眠ってしまうことも多いという46歳。
(画像提供=毎日放送)
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