中学時代に英語圏で2度のホームステイを体験

イーオン社長の三宅義和氏

【三宅】そのお兄さんと小学校の時にYMCA(キリスト教青年会)に通われたんですね。実際に英語を勉強されてどうなりましたか?

【鈴木】YMCAは勉強というより遊びの延長で通っていました。文法的な勉強は中学校に入ってからです。「YMCAの先生が言っていたことって、こういうルールだったんだ」とか、いろいろ点と点がつながった時期でもあります。英語は大好きな科目だったので授業も真面目に聞いていました。

【三宅】その後、中学生2年生と3年生の時にアメリカとオーストラリアに短期のホームステイをされていますね。

【鈴木】1、2週間の本当に短期のものでしたが、中2の時はYMCAのプログラムを親父が見つけてきてくれて、「行きたかったら行ってもいいぞ」と言われたので二つ返事で「行く!」と言って。中学3年の時は西宮市のプログラムに参加しました。

【三宅】素晴らしいお父様ですね。ホームステイはいかがでしたか?

【鈴木】今思えばですが、短期だとよくも悪くもその土地のいいところだけが見えるので楽しい思い出ばかりなんです。その後、高1でアメリカのオクラホマに1年留学したときは結構大変でした。

留学前にどのくらい下地があるか

【三宅】アメリカ中部のオクラホマで過ごされた1年がいまの鈴木さんの英語力の基礎を作ったと言っていいですか?

【鈴木】そう思います。1年というと短い期間ですが、周囲に隣家が1軒しか見えないような田舎にホームステイしていたので、学校には日本人はおろか、アジア人は一人もいません。そして家に帰ったらホストファミリーとずっとしゃべるんです。いまと違ってスマホもSNSもないですから。まったく逃げ場がない環境で過ごす1年は相当密度が濃かったように思います。

【三宅】芸能人の方でも英語の勉強のために海外に行かれる方がいらっしゃいますよね。

【鈴木】そうですね。いいことだと思います。ただ、海外に半年なり1年行ったからといって英語が上達する保証は当然なくて、いかに英語漬けの環境に意識的に飛び込めるかが大事だと思います。

【三宅】英語の基礎ができていないうちに短期留学しても成果は出にくい、というのもありますよね。

【鈴木】そうかもしれません。同じタイミングで留学にいった生徒と比べると、おそらく僕のほうが上達の伸び率が高かったと思うんですが、ひとつはある程度の下地があったから、もうひとつは田舎に行ったからだと思います。

日本人が知らないアメリカの実情

【三宅】しかし、オクラホマというのも珍しいですね。

【鈴木】本当は僕もロサンゼルスやシアトルのような、かっこいいところに行きたかったんです。でも決まったのがオクラホマ。「どこ?」みたいな。いざ行ってみると、そこにはリアルなアメリカがあって、クラスの半分くらいの生徒はカウボーイハットをかぶり、ラングラーのジーンズを履いていて、ピックアップトラックにライフルを積んで登校している。

【三宅】日本人が知らないアメリカの実情ですね。

【鈴木】ものすごいインパクトでした。だいたい僕らがアメリカに行くと言っても大都市か観光地しか行きませんし、大学で留学するといっても結局、都市部が多い。ですから生のアメリカを肌で感じることができたこともいい体験でした。そういう意味で、交換留学は自分で行き先を選べないのがメリットかもしれません。

そういう環境だったので、英語の上達に役立ったのはもちろんですが、サバイバル術全般というか、アメリカ人とどういった態度で接するべきとか、日本人としてどう見られているかといったことを学べたことも大きいです。

【三宅】視野が広がりますよね。

【鈴木】はい。ですから留学の最大の収穫としては、肌の色やしゃべる言葉、文化が違っても、感じることは一緒であることが体験できたことだと思います。ホストファミリーと家族同然になり、クラスメートと親友になり、そうやって感情的なところはなにも変わらないことを実感できたことで、その後外国に行っても物怖じしなくなりました。

イーオン社長の三宅義和氏(左)と俳優の鈴木亮平氏。スーツ32万5000円~、シャツ5万4000円~(ともにオーダー価格・税抜き)、ネクタイ〔参考商品〕以上すべてジョルジオ アルマーニ(ジョルジオ アルマーニ ジャパン)