社内不倫の噂が!そのとき人事部は

――社内不倫など異性関係の不祥事の処罰はどうしていますか。

【食品】これまで社内不倫で処分したことはない。妻子持ちの男性社員が社外で不倫をしている場合はそれほど問題にしない。つまり私的時間内の非違行為なのか、社内の秩序を乱す行為なのかに分けて考えている。仮に某部署の部長と秘書役の女性が不倫をしているのを見たという通報があった場合、そのことを職場の誰もが知っていて、嫌な思いをしていれば調査に入る。不倫の事実が判明し、部長の信頼が職場で失われていれば役職の剥奪や降格の処分をすることになるだろう。

【サービス】噂になっている程度だったら何もできない。職場内の不倫が周囲に知られていても問題にすることはない。ただし、業務に支障を来すようなことがあれば別だ。痴話ゲンカ状態になっているとか、奥さんから電話がかかってきてから、初めて動き出す。

【製薬】役員に昇進させる場合は、特に異性がらみの“身体検査”はチェックするようにしている。素行調査をするのはなかなか難しいが、外部の調査機関に依頼している。

――処罰を受けたら出世にも影響しますか?

【IT】昇進に影響するかどうかは会社のルールによって違う。たとえば罰則によって禊の期間を2年、あるいは5年に設定し、その期間は昇進させないという会社もある。うちは明確なルールはないが、昇進の可能性があっても、昇進候補者から1回は外すことにしている。

【食品】いったん処罰を受けても敗者復活も認めている。部下の不祥事の管理責任を取って降格されても、その後に実績を積み上げれば昇進も可能だ。だが罪によっては人事上ゼロになるわけではない。得意先と契約上のトラブルを引き起こし、降格になった社員もいる。2回、3回と繰り返せば処罰も重くなる。

【製薬】処罰されたら本来は昇進にも歯止めをかけるべきだ。だが、人事のデータベースにどれだけ賞罰が記録されているかは企業によって異なる。うちの場合は各事業本部付の人事担当がいて、事業本部の人事で昇格・昇進させるときに本部長に対し「この人は10年前にこういう処罰を受けた人です」と、過去の処分歴について具申することにしている。

【食品】じつは役員に昇進する場合は社外役員で構成する指名委員会の審査を受ける。その際に「過去の処分歴」の資料も提出する。たとえばけん責や出勤停止、減給など3つも4つもある人は「この人は大丈夫か」となるだろうね。

【サービス】役員の要件に「能力、実績。品格・人格が優れている」とある。もし女性関係が乱れている人であれば、とても品格があるとはいえない。もし、将来の役員候補と言われている管理職がいれば、人事から「身辺整理ぐらいちゃんとやっておけ」と言うだろうね。

(写真=iStock.com)
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