成人男性の3人に1人は高血圧
平成28年の国民健康・栄養調査によると、高血圧と診断された人は、20歳以上の男性で34.6%、女性で24.8%。じつに成人男性の3人に1人、成人女性の4人に1人が高血圧なのです。
高血圧の原因は、もちろん塩分の摂りすぎだけではありません。そのほかの主な原因には、食習慣の乱れや運動不足、喫煙や過度の飲酒、ストレスなどが挙げられます。
減塩だけに取り組んでも意味がないのではないか。そんなふうに思う方もいるかもしれません。むろん高血圧の予防には、総合的に生活習慣の改善に取り組む必要があります。たださまざまな対策が講じられるなかで、食塩の摂取量については国が40年近く前から目標量を示し、熱心に取り組んできたことは、減塩の重要性を物語っていると言えるでしょう。またコツを覚えれば、日々の食生活のなかで気軽に実践できることもポイントです。
では、実際に減塩による降圧効果はどのくらい期待できるのでしょうか。
減塩による血圧の下がり具合には個人差があります。一般に、食塩を1日1.0グラム減らすと、高血圧の人なら最高血圧は1mmHgくらい、最低血圧は0.5mmHgくらい平均して下がるとされています。正常血圧の人の場合は、その半分くらい下がることがわかっています。
味のついた食事をしていれば「塩分不足」はない
最高血圧が1mmHg下がるだけで、どれほどの効果があるのかと疑問に思われる方もいるかもしれません。でも心臓や血管への毎日の負担を考えると、たった1mmHgでも、チリも積もれば大きな違いとなります。
厚生労働省が2011年に発表した「健康日本21」の試算では、最高血圧が2mmHg低下すると2万人の死亡が予防できるとされています。先の平均的な降圧効果から考えると、血圧を2mmHg低下させるのには、高血圧の人が1日10グラム摂っていた食塩を8.0グラムに減らせばいいということになります。治療の目標量の6.0グラムに抑えることができれば、さらなる降圧効果によって脳卒中などの予防が期待できるでしょう。
もちろん、塩分は減らせば減らすだけいいというものではありません。塩分は体を維持するためになくてはならないものです。味のしない離乳食のようなものばかりを食べているなら話は別ですが、何かしら味のついた食事を三食摂っていれば、塩分が足りていないなんてことはあり得ないでしょう。だからこそ減塩の心がけが大切になってくるのです。