「すべて100円」と言われると安く感じる
100円ショップの商法は、価格が均一であることにつきる。つまり、100円で売って儲かる商品も儲けが少ない商品も混じっているはずだが、それが客側には見えなくなっているのがこのビジネスだ。
われわれ消費者も、商品ごとにもし価格が違えば「この値段は安いのか? 他の店はもっと安いのではないか?」と考え、いちいち吟味するのだが、すべて100円ですと言われると、それをやめてしまう。「100円=安い」という印象が強いため、他で買った方が安いはずの商品があったとしても、そう感じなくなる。「まあいいか」と深く考えなくさせられるのが、100円という数字のマジックだ。
そのせいで「あれもこれもついでに」と手が伸びる。100~200円の買い物のつもりで店に入ったはずが、会計をしてみたら軽く1000円をオーバーしていたという覚えのある人は多いのではないか。
「100円なら買っておくか」が一番の落とし穴
100円ショップで最も買ってはいけないもの、それは「とくに買うつもりじゃなかったけれど、100円なら買っておくか」と、つい手に取ってしまった商品である。レジに並ぶ前に、カゴの中を改めて確認し、入っている数をカウントすることをお勧めしたい。
最後に余談だが、10月の消費増税により、100円ショップが「110円ショップ」になったらどうしようかとひそかに気をもんでいる。
税率8%までは、だましだまし100円の看板のままで来たものの、消費税が10%になり「+10円」となるとさすがにキツイのではないか。各社もきっとネーミングに困っていることだろう。さらに、食品は軽減税率対象で108円のままだから、価格帯にもバラツキが出る。
すでに店頭で200円や300円といった100円以上の価格を展開する店も増えている。今後、「100円均一」というスタンスは維持できるのか。100円ショップを愛する者としては、その意味でも増税の行方から目が離せない。
消費経済ジャーナリスト
雑誌編集者として20年以上にわたり、『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『ESSE』などのマネー記事を担当。現在は雑誌やWebを中心に生活者目線で執筆中。また、「節約愛好家 激★やす子」のペンネームでも節約アイデアを研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術 』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。著者公式サイト→【消費経済リサーチルーム】