仕事を溜めない「5分間味見術」

2つ目のタイプの人がやっていることを、ここでは「味見する」と表現する。忙しいけれど、常にどの仕事も後回しにしない人は、この味見をすぐにやっている。

1つ目のタイプの人も、今、集中している仕事に時間を割きたいという気持ちはわかる。しかし、後で確認することにはリスクがつきまとう。1つは忘れるリスク。もう1つは確認する際に、相手がつかまらない、あるいは断ろうと思っても時間がたっていることで状況が難しくなっているリスク。

一方、2つ目のタイプであれば、即座に確認して対応すれば忘れることはない。自分が担当すべきではないと判断すれば、すぐに断りを入れたり、誰かにお願いしたりすることができ、自分の陣地に仕事を溜めないで済む。

HRインスティテュート『全員転職時代のポータブルスキル大全』(KADOKAWA)

些細なスキルも使いこなせば差になる

同じ5分でも、先に費やすか、後に費やすかで生産性は大きく変わる。5分の味見を通じて、少なくとも下記のことを把握することができる。

《5分の味見で把握できること》

1. 自分でやるべき仕事か、他の人にお願いしたほうがいい仕事か
2. すぐやるべき仕事か、あとで平気な仕事か
3. 時間がかかる仕事か、すぐ終わる仕事か
4. 創造性が求められる仕事か、作業ですむ仕事か
5. 周囲を足止めする仕事か、自分への影響のみの仕事か

仕事を溜めないためには、この5分間味見の習慣をつけよう。加えて、「15分以内にできて、かつ、あなたでしかできない仕事」であれば、「その場ですぐにやってしまう」習慣も手に入れたい。これらがクセづけされれば、溜まりがちだった仕事は一気に減らすことができるだろう。

『全員転職時代のポータブルスキル大全』より

本稿で紹介した3つのスキルはどれも些細なものだ。これらの些細なスキルのうち、1つモノにできている人は感覚的に6割くらいだろうか。3つとも使いこなしている人となると、一気に2割を切る感覚だ。

全員転職時代のライバルは、いってしまえば全ビジネスパーソンといえる。他の人よりあなたと仕事がしたいと思われる人になり、どこでも誰とでも成果を出せるビジネスパーソンになるためには、些細だが威力のあるスキルを積み上げることが非常に重要である。

三坂健(みさか・けん)
HRインスティテュート シニアコンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業。安田火災海上保険株式会社(現・損害保険ジャパン日本興亜株式会社)にて法人営業等に携わる。退社後、HRインスティテュートに参画。現在は常務取締役兼シニアコンサルタント。経営コンサルティングを中心に、教育コンテンツの開発、人事制度設計、新規事業開発、人材育成トレーニングなどを手掛ける。
(写真=iStock.com)
【関連記事】
会社が絶対手放さない、優秀人材6タイプ
話がつまらない人に共通する3つの"ない"
「エース社員が辞める」残念な会社の特徴
西野亮廣が「いいっすね」を連呼するワケ
63歳年収1400万円外資系エリートの悩み