メールの返信にも「プチギフト」はつけられる
プチギフトは人間関係の「点」だけでなく、「面」の形成にも効果的だ。たとえば、あなたがコミュニケーションしている人の秘書や家族の方にプチギフトを贈るのもいい。
自分の身に置き換えて考えてみたらその威力がわかるだろう。あなたがふと「娘が幼稚園に入ってね」などと話したことを相手が覚えていて、お嬢様に、と小さな贈り物を持ってきてくれたら――。素直に嬉しいのではないだろうか。
またプチギフトは必ずしも、モノである必要はない。お礼状やお見舞い状で相手に心づかいを届けることも可能だ。「自分のことを思って用意してくれたのだ」と相手に伝われば形は問わない。
さらに言えば、ハードではなくソフトでもいい。相手からメールでビジネス文書を受け取った際には、「リボン」を付ける意識を持って返信してみよう。
「リボン」とは「フィードバック」のことである。相手のビジネス文書を受け取って自分が感じたことを、メールにそっと添えて返信すると効果的だ。もちろん、相手との関係性には十分に配慮する必要があるが、「うれしかった」「刺激を受けた」などの客観的なフィードバックは、何ものにも代え難い価値がある。
織田信長は贈り物の達人だった。武田信玄は、信長の贈り物が入っていた「蒔絵の箱」を割ってみたところ、漆が表面だけでなく何重にも塗られていたことに驚き、そこから信長の人間としての力量を感じ取ったと言われている。
戦国時代も全員転職時代も、ビジネスに価値と喜びを追加する工夫のできる人は格が上がるものだ。
「表情が暗い人」は成長・活躍しにくい
コンサルティングの一環で企業の役員と話をしていると、「みんな、私にも意見をすればいいのに、しないんだよね」とか、「わからないことや思うことがあれば、伝えてくれればいいのに」といったフレーズに出会うことがある。
これは役員に限らず、部下のいる部長や課長、後輩のいる先輩にもあてはまる。大抵の場合、この症状の原因は「その人に質問しづらい」「意見を言いづらい」と周囲が感じているからにほかならない。つまり自分に問題があるわけだ。
「不用意なことを言えば否定をされるのではないか」「『そんなことも知らないのか』と言われるのではないか」という心理が蔓延していると、なかなか周囲は意見を言えなくなる。そればかりか、普段の表情がしかめっ面だったり、眉間にしわが寄っているだけで周囲の人は意見を言うのに躊躇してしまう。
自分の表情について意識している人も、プチギフトを贈っている人と同様、意外に少ない。職場によってはほとんどの人が気にしていないかもしれない。しかし表情は、自分と人が対峙する際、当然ながらもっとも見られるものだ。自分の感情が現れる場所だからこそ、相手への気遣いをすべきところといえる。