大きな数字に「思考停止」になりがちな日本人

「数字について敏感になる」ことは非常に重要ですが、今の日本はどうも、「数字で話す」文化が根づいていないように思います。数字の裏づけがないままに意思決定が行われ、指示命令が下される。「売上○○万円」「利益○○万円」などという数字が飛び交っていても、その根拠があいまいなまま。

斎藤広達『数字で話せ』(PHP研究所)

その原因として私は、大きな数字について日本人が「思考停止」になりがちなのが原因の1つであるように思います。その最たるものが、日本全体の数字。諸外国と比べて日本人は、国家予算や貿易収支のような話題を避けたがる傾向があるように思います。

確かに、「国家予算100兆円」「GDP 550兆円」などというあまりにケタの大きな数字は、@変換をしたとしてもイメージしにくいものかもしれません。

「国の数字を直視する」のは国民の使命

ただ、「数字と直面しない」というのは、いわば「現実を見ようとしない」という姿勢にも思えます。

福沢諭吉はその書『学問のすすめ』にて欧米列強からの圧力の中、国として、個人として自立することの重要性を説きました。その言葉に促されるように、150年にわたって努力してきた先人たちの歩みがあってこそ、今の私たちの生活があります。

大げさな話かもしれませんが、国の数字に敏感になること、国の数字を自分のこととして考えることは、自立した人間かどうかの試金石のようにも思えます。だからこそ、もっと「大きな数字」を直視してもらいたいと思うのです。

そしてその際に「@変換」は、大きな武器になるはずです。

斎藤広達(さいとう・こうたつ)
経営コンサルタント
シカゴ大学経営大学院卒業。ボストンコンサルティンググループ、ローランドベルガー、シティバンク、メディア系ベンチャー企業経営者などを経て、経営コンサルタントとして独立。数々の企業買収や事業再生に関わり、社長として陣頭指揮を行い企業を再建。その後、上場企業の執行役員に就任し、EC促進やAI導入でデジタル化を推進した。現在は、AI開発、デジタルマーケティング、モバイル活用など、デジタルトランスフォーメーションに関わるコンサルティングに従事している。
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