※本稿は、斎藤広達『数字で話せ』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
大きな数を読み解く際には「@変換」
「@変換」とは、あらゆる数字を「1人当たり」「1個当たり」に換算してみることで、巨大な数字を手触り感のある数字に落とし込む手法のこと。『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス)というベストセラーを覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、まさに、「@変換」によって大きすぎる数字を身近なところに落とし込んだ好例です。
同様に、一見とっつきにくい国の数字も、@に落とし込むことで急に身近になるのです。
では、「とっつきにくい数字」の代表として、先日閣議決定された平成31年度一般会計歳出歳入概算案、いわゆる「国家予算」を見てみることにしましょう。初めて100兆円を超えたことで話題になりましたが、では、この100兆という数字は我々にとってどんな意味があるのか。それを知らなければ、議論をすることもできません。
兆単位の数字は結局「他人事」
財務省から公表された資料を見やすく加工したのが、図表1です。
まずは歳入を見てみます。概算額は約101兆円です。内訳を見ると、税金が62兆円、公債が33兆円、その他が6兆円強。収入が62兆に対し、借金が33兆、というのは少し多すぎる気がしますが、数年前までは収入よりも借金が多かったくらいなので、相当に回復しているとも言えます。
今度は歳出を見てみます。総額は約101兆円で歳入と同じ額です。内訳を見ると、基礎財政収支対象経費が78兆円、国債費が23兆円です。つまり、国家運営に必要な費用が78兆円、積み上がった借金の返済に23兆円を充てているわけです。
費用の内訳は、社会保障費34兆円、文教及び科学振興費5.6兆円、防衛関係費5兆円、公共事業関係費7兆円などです。
さて、ここまで見てきて、いかがでしょうか。社会保障も防衛も公共事業も非常に大事なことには違いありませんが、正直、兆という単位はあまりに大きすぎ、どうも現実感が持てず、他人事に見えてしまうのではないでしょうか。