現在、登録施工業者は2万1000社。Fリフォームが常時在庫しているアイテムは6000。うち約6割が自社開発商品であることと、全体の最適化によって、適正な利益率を確保し、金物店や施工業者へも満足できるマージンを提供する仕組みです。

「高齢者や介護者の施設に訪問したり、施工業者さんからの要望を聞いたりして、愚直に商品を開発してきました。必要とされるものをつくり続けた結果、手すりを留めるブラケットだけで2700アイテムにもなりました。このロングテールの商品が、当社の強みになっています」(同)

手すりの部材であるブラケットだけで約2700ものバリエーションがある(写真左)。これらを小ロットでも供給できるのが強みだ。手すり用輸入材に280キロ超の圧力をかけて強度を測る(写真右上、右下)。

最近では「ファースト事務」という施工業者向けのサービスも展開中。施工業者は工事以外にも自治体への介護保険申請、お客様への見積書、Fリフォームへの発注書を作成しなくてはなりません。とくに申請書は自治体によって様式が異なるので、事務処理の作業が重くのしかかります。日中は工事に追われ、夜は書類作成に追われるわけですが、ファースト事務は、これらの間接業務をサポートするものです。

創業時の経営理念を“メンテナンス”

マツ六の創業理念は、「小さな商いをたくさん集める」こと、そして商売にかかわるすべての人を幸せにするという「協調互敬」です。Fリフォームの仕組みは施工業者の困りごとを解消し、金物店には施工業者の開拓や代金回収という新しい役割と責任を与えました。そして介護を必要とする方や家族には「転倒のない安全な室内環境」を提供しています。つまり、100年前の創業理念が、今のFリフォームへ脈々と引き継がれているのです。Fリフォームの取り組みは、「環境変化の中で、経営理念を今の環境に合わせるようにメンテナンスすること」の大事さを教えてくれます。

これから介護保険は厳しい環境を迎えます。高齢化が進めば、介護保険の適用条件が厳しくなります。極論ですが、「寝たきりにならないと介護保険を受けることができない」といった事態も起こるかもしれません。そこで「介護が必要になったので手すりを取り付ける」から、「転倒して介護が必要にならないために手すりを取り付ける」へと思考を変える必要があります。

そこで、同社では「転倒予防ナビ」というサイトを立ち上げました。利用者には「玄関やトイレなど、場所ごとにベストな手すりって何か」「介護保険のもっとも適切な使い方とは」。施工業者に対しては「設置場所によって手すりを付ける最適な方法とは何か」といった情報を提供しています。