筋肉を大きくするには「24時間」を意識すること

ここまで、1食分の最適なタンパク質の摂取量について考えてきました。しかし、筋トレによる筋タンパク質の合成感度の上昇は24時間継続しています。では、24時間あたりの最適な摂取量はどのくらいなのでしょうか?

参考になるのが、マクマスター大学のモートンらが2017年に報告した筋トレとプロテインに関するメタアナリシスです。報告では、24時間の最適なタンパク質摂取量の係数を導き出しています。

それは「24時間で体重1kg当たりの平均値1.62g(最小値1.03~最大値2.20)」というものです。例えば、体重70kgの若者であれば、24時間で平均値113.4g(最大値154.0g)が最適な摂取量になります。

では、「体重70kgの20代の若者」を例に、筋トレ後の24時間でのタンパク質の摂取パターンをシミュレーションしてみましょう。

まず、モートンらが示した係数で計算すると、24時間における最適なタンパク質摂取量は113.4gとなります。

一方、ムーアらが示した係数で計算すると、1食当たりの最適なタンパク質摂取量は16.8gとなります。さらに、一般的な筋トレは多関節トレーニングが中心となるため、ムーアらの単関節トレーニング由来の数値に10gをプラスし、1食当たりの摂取量は約27gとなります。

夕方にトレーニングを行った場合、その後の夕食で27gのタンパク質を摂取します。さらに、寝る前にプロテインで35gを摂取して、翌日の朝食と昼食に27gずつ摂取すると筋トレ後の24時間におけるタンパク質摂取量は116gとなります。

たとえば、牛ヒレステーキ(100g)に含まれるタンパク質は約21gなので、24時間で約6枚も食べる必要があります。筋トレのたびに食べるのは難しいので、プロテインなどタンパク質を効率よく摂取できる食品を利用することになるでしょう。

モートンらが示す係数、ムーアらが示す係数で若干の差異はありますが、こうした現代のスポーツ科学とスポーツ栄養学が示すエビデンスを活用すれば、1食当たり、さらに24時間の最適なタンパク質摂取量を導き出すことができます。

筋トレの効果を最大化させるためには、筋トレ後の「24時間」を意識して、自分に合ったタンパク質の摂取量を摂取していきましょう。

庵野拓将(あんの・たくまさ)
理学療法士、トレーナー、博士(医学)
大学院修了後、大学病院のリハビリセンターに勤務。けがや病気をした患者やアスリートのトレーナーとして、これまで延べ6万人の体づくりに携わってきた。大学病院では、世界最先端の研究成果を現場でのトレーニングにフィードバックするため、研究発表、論文執筆も行っている。筆名・庵野拓将として、筋トレ、スポーツ栄養学をはじめとする最新の研究報告を紹介するブログ「リハビリmemo」を主宰。