モスは単品価格に「セット料金」が上乗せされてしまう

モスのセットメニューは単品価格に対して、「オニポテセット+440円」と表記しています。一方、マックは「バリューセット690円」として、単品価格を意識させないパッケージ型のメニューになっています。モスのほうがそれぞれの価格はわかりやすいのですが、価格を上乗せしていく方法なので、セットを頼んでも「得をしている」という感覚を得にくいと考えられます。

今回の調査結果をみると、マックは価格戦略含めた販促活動の成功により、一人ひとりのロイヤルティは低いものの、幅広い顧客を取り込んでいるのに対して、モスはモスが好きな一定のファンの人にしか売れていないのではないかと推察されます。

世帯年収についてみると、マックでNPSが一番高かったのは200~400万円未満の回答者だったのに対し、モスで一番高かったのは400~600万円未満の世帯でした。モスはより年収が低い層にターゲットを拡げることができれば、マクドナルドから顧客を奪えるかもしれません。

NPSはすぐに収益に影響が出るとは限りません。しかしNPSの高い企業は、長期的には収益も高くなりやすいことがわかっています。ロイヤルティーが高い顧客は口コミで新しい顧客を呼び込んだり、長期に渡り何度もリピートをしたり、一回あたりの購入の単価が高かったりと、収益拡大に結びつきやすいからです。そういう意味では、現時点で長期的な将来性があるのはマックよりモスである、との見方もできるのではないでしょうか。

今西良光(いまにし・よしみつ)
Emotion Tech 社長
1982年、東京都生まれ。早稲田大学大学院修了。日立製作所、ファーストリテイリングを経て、2013年に現在のEmotion Tech(エモーションテック)を創業。
(写真=時事通信フォト)
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