医師も患者もベストな意思決定をしていると思われがちだ。しかし、多くのバイアス(偏見)が医療現場には潜んでいるという。より良い選択をするためにはどうしたらよいか。「行動経済学」が合理的な判断を助ける、という大竹教授に話を伺った。

より良い選択ができる「患者の行動経済学」

最近、医療の現場に「行動経済学」の知見を活かすことで、患者と医療関係者の双方にとってより良い行動を促す研究が世界中で進んでいます。日本の医療界にもその流れをぜひ導入してほしいと考え、複数の研究者たちと協力して、2018年『医療現場の行動経済学』という本を出版しました。

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現在の医療現場では、どこでも「インフォームド・コンセント」という手法が取り入れられています。これは医師が患者に治療の内容や、その副作用の可能性などについてきちんと説明し、患者もそれに合意したうえで治療方針を決定するという概念です。