お遍路歴100回超、千里の道も一歩から

お遍路で必須用品のひとつが納め札だ。お札には名前や願い事などを書いて、各お寺の本堂と大師堂に納める。この納め札は色によってランク付けされており、お遍路の結願(けちがん)回数に応じて白、青、赤、銀、金とグレードが上がり、100回以上で錦色となる。そんな錦色の札を納める70代の方に幸運にも出会うことができた。なぜ100回以上もお遍路をしているのだろうか。

88カ所巡りのゴールは、香川県の大窪寺。大窪寺への道は最後の試練だ。ちなみに、88カ所すべての霊場を回り終えることを結願(けちがん)という。結願後は、その報告のために、弘法大師が入定した高野山の聖地「奥之院」(和歌山県)にお参りに行く人が多い。

「実は初めてのときは人に誘われて、車で一緒に回ったんです。それなりに楽しかったんだけど、2回目はもういいかなと思っていました。でも、運動でも始めようかと思ったときがあって、健康のために1度歩いて88カ所を回ってみることにしました。それ以来、お遍路にハマってしまったんです。今では完全に趣味ですよ」

笑顔で答えてくれたが、現実的には100回以上も四国を回るのは辛くないのだろうか。

「千里の道も一歩からで、全然辛くないですよ。だって、ディズニーランドに100回行くのって辛くないでしょう。お遍路とテーマパークは同じなんですよ。初めてお遍路をすれば、それは体が痛くなって辛いときもあるかもしれないけど、お遍路中には人との触れ合いがあって、感謝し感謝されながら、優しさが伝染していきます。そういう愛に満ち溢れた中で旅ができるなんて、幸せ以上のなにものでもないでしょう」

四国に来る前までは、お遍路の旅は暗い旅になると思っていたが、こんなに明るい人とたくさん触れ合うことができて、ハッピーな気持ちになれるとは思ってもみなかった。日常に疲れている方がいたら、ぜひ全身真っ白でお遍路されることをオススメしたい。

(撮影=石橋素幸)
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