ユーは何しに四国遍路へ?

地元ボランティアの方の話にあったとおり、外国人のお遍路さんを見かけることは多かった。お遍路の魅力とは何か。この日記の冒頭で登場したイギリス人が答えてくれた。

「一番の魅力は“人”です。四国の人はみんな優しいです。特に“お接待”は感動します。言葉はうまく通じなくても、フルーツやお菓子をくれたり、夜に泊めてくれたりしてくれます。こんな私に優しくしてくれて、本当に嬉しい気持ちでいっぱいになります」

そもそも、何のために、わざわざ海外から四国にお遍路をしに来るのだろうか。四国遍路といえば、大切な人が亡くなった、大病を患ったからというイメージが強いが、彼は前向きな目的を教えてくれた。

「お遍路は自分へのチャレンジです。自分自身を変えるために巡礼に来ました。歩き続けていると、よけいなことを考えなくなります。ただ、ひたすら歩くだけ。自分と対話し、自分を見つめ直す大切な時間です」

確かに、歩き始めのときは、自分の悩んでいることなどをあれこれ考えていても、次第に考えることをやめて黙々と歩くようになる。悩んでいたことが、ちっぽけに感じられて、どうでもよくなってくる。しかも、普段は頭を休める暇がなくても、歩くだけで何も考えない時間を強制的に確保できる。無の境地ということか、脳が自然とスッキリする感じがして、気持ちがよい。

11番の藤井寺から12番の焼山寺へ行く険しい山道などは、「遍路ころがし」と呼ばれ、挫折する人が多い難所だ。特に一人歩きの場合は要注意だが、地元の方が言うには、「一人歩きでも大丈夫。万が一のときは、金剛杖に書いた名前で身元がわかるから安心ですよ」とのこと。