実績を出し続ければ、必ずメンバーは増えていく

もし、チームリーダーに対してメンバーが一人だけだったら、チームリーダーの業務を全部メンバーにリリースした瞬間に生産性は下がり、売上が下がります。

社員がまだ10人以下のときに、私が営業の仕事をリリースできなかったのは、このためです。社員が自分の業務を大量に抱えている中で、さらに社長の業務を渡したら、社員はすべての業務を完遂できなくなり破綻しますから、会社全体の生産性が下がるのは自明でした。

ですから、私が自分の業務をリリースしたのは、社員が増え、社員の業務量にある程度の余裕ができてからです。

たとえば、チームリーダーの業務のうち、50%がプレイヤー業務で、50%がマネジメント業務だとします。

メンバーが3人いて、全員がキャパシティの80%の業務を行っているのなら、チームリーダーの50%のプレイヤー業務を全部メンバーにリリースしても、メンバーが破綻することはないでしょう。

チームリーダーは、リリースした50%分、新たなマネジメント業務に取り組むことができ、「てこ」として働くことでチームのパフォーマンスを50%以上上げることも可能になります。

チームリーダーは、自分でメンバーを雇って増やすことはできませんが、チームのパフォーマンスを上げて、実績を出し続けていれば、必ずメンバーは増えていきます。

これは、経営の原理・原則です。勝っているチームには、必ず業務と人が投下されます。勝ち続けているチームのメンバーが増えていくのは必然なのです。

量が質に転化する理由

チームリーダーが自分の業務をメンバーにリリースし、自分は自分の上司の業務をキャッチする。これを継続していると、やがて上司の業務が全部できるようになります。

そうなれば、本当にそのポジションに配置されることでしょう。リリース・アンド・キャッチで常にワンランク上の業務をキャッチしていけば、やがて課長から部長、事業部長、役員へと上がっていくことができます。

髙橋恭介『4倍速で成果を出すチームリーダーの仕事術』(PHP研究所)

ここで注意してほしいのは、チームリーダーが自分の業務をリリースするだけでは、チームも自分も成長することはできないという点です。既存の業務をリリースするのは、あくまでも新しい業務に挑戦するキャパシティを生み出すためであり、今できないことをできるようにするためです。

優先順位の高い施策に重点を置いて取り組むために、優先順位の低いことは、やらないと決めるのです。新陳代謝をすることが大事なのです。

成長している企業を見ても、まずは限界まで業務量を増やし、それを何とかこなすことで質に転化させています。単に業務をリリースして業務量を減らしても、新しい業務に取り組まなければ、質に転化することはありません。チームリーダーはこのことを肝に銘じておきましょう。