「みんなと一緒」で通用する時代は終わった。ぬるま湯に浸かって群れているだけでは、目標達成や自己実現などできない。総合格闘家の青木真也氏は「自分の信念を持ち続けるために、創造できる自由だけは絶対に手放してはいけない。警察学校にいた2カ月間は何もできなくてつらかった」という――。

※本稿は、青木真也『ストロング本能』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

信念さえあれば豊かに生きられる時代

日々、与えられた仕事をこなしているのに、達成感を得られない。忙しく働くだけで、成長はしていないように感じられる。……そんな悩みがあるとしたら、人に流されている可能性が非常に高いと思っていいでしょう。

総合格闘家・青木真也氏

僕は「人に流されない覚悟が、レベルの高い自己実現を可能にする」と信じて、ここまでやってきました。何かやりたいことがあっても、人に流されるとどんどんつらくなっていきます。反対に、人に流されなければ、どんどん成長していきます。

以前の右肩上がりの社会では、人に流され、「みんなと一緒」であることが優遇される風潮がありました。しかし、いまの世の中で「みんなと一緒」はババを引く可能性が大きいというのが僕の意見です。そもそも「人に流される=思考がもうそこにはない」といえます。思考停止状態のぬるま湯に浸かってなんとなく群れているだけでは、目標達成や自己実現はできません。

人に流されていると、「何のためにやっているのか」という信念の濃度も薄まっていきます。これが実によくない。いまは、信念さえあれば勝てる時代です。大勝ちはできなくても、豊かに生きられる時代なのです。だからこそ、人に流されることは避ける。そして、とにかく「自由」だけは手放してはいけません。

公務員のように欲を禁じられるのはつらい

たとえば「1億円やるから格闘技を辞めろ」と言われても、僕は辞めません。お金のために自由を手放したくない。何にも縛られず、自由に好きなことをやっていたい。

僕は、自分で選択できて、自分でクリエイティブに創造できることの価値と喜びを知っています。それに、何もできなかった警察学校の2カ月も知っている。だから、自由の価値を本当に素晴らしいと、より強く感じているのです。

僕は、基本的に自由の身ですから、どんな仕事でも受けることができます。格闘技の枠に縛られることもありません。「おまえ来いよ」「行きます」でOKなわけです。行きたくなければ、「行かないよ」と言える自由はやはり最強だと思っています。自由だからこそ、ときには欲望をむき出しにすることもできます。

欲をかくことはとても大切です。公務員は、まったく欲をかけません。「欲をかいてはダメだ」という教育を受けるのです。副業もダメです。そうなってくると、「自分の立ち位置を上げよう」とか「ここでひと山当てよう」みたいな山師的感覚がなくなってしまう。欲は、僕が思考の中心に据えて大事にしている本能をドライブするエナジーです。そのエナジーを禁じられてしまうのはつらい。