JR北海道が、東急に土下座した日

経営難に陥っているJR北海道が、JR東日本、東急電鉄、JR貨物の協力のもと、道内で観光列車を走らせると発表した。観光振興、地域活性化、北海道胆振東部地震からの復興を目的とした走行プロジェクトである。

美しいロイヤル急行をディーゼル車に牽引させていいのか。(東急電鉄=写真提供)

JR北海道といえば、2018年11月に発表した線区別収支(2017年度)によると、運行する全27線区が赤字の崖っぷち。16年に留萌本線の留萌~増毛間が廃止され、19年4月には石勝線の夕張支線がなくなるなど、今後も複数路線が営業の幕を閉じようとしている。

さらに輪をかけるように18年9月の台風21号、北海道胆振東部地震が連続して発生。北海道全体が大きな影響を受け、約7700本もの列車が運休する事態になった。特急列車での客室乗務員のサービスを2月末で廃止するなど、悪いニュースが続々と聞かれる。

そんな同社の経営改善の足掛かりになるかと、今回のプロジェクトは業界内でも注目度は高い。

ただ、事業収入の見通しについて聞かれると、JR北海道の島田修社長は「線路使用料、借入費用、運営方式などを含めてこれから協議」と歯切れが悪い。本当に大丈夫なのか心配してしまう。

さて、今回のプロジェクトで運行する観光列車は2種類。

1つは、JR東日本から車両を借り入れた「風っこ そうや」(宗谷本線・旭川~音威子府/音威子府~稚内)で19年7~9月に運行させる。もう1つは、東急が所有する豪華観光列車「ザ・ロイヤル・エクスプレス」(札幌~道東エリア)を20年5~8月の間の約1カ月の運行を想定している。

編成イメージ(JR北海道のプレスリリースから)

JR北海道が他社の車両を借り入れて運行させることは異例。今回のプロジェクトは、島田社長から東急へ話を持ち掛けた。

東急の高橋和夫社長は、「北海道で運行させるのは当社としてもチャレンジングである」と語る。