石破派が「反主流」と認定された夜
6日夜、首相公邸で自民党7派閥のうち石破派を除く6派閥の事務総長らが会食した。安倍氏の招きで、昨年秋の総裁選の慰労という名目だった。会合は箝口令が敷かれたというが、政治家がオフレコを守れるわけがない。同日夜のうちに「石破派外し」会合は永田町を飛び交った。
安倍氏も最初から外に漏れることは承知の上でのことだった。石破派が正式に「反主流派」と認定された瞬間だったといっていい。
昨年9月の総裁選は、敗れはしたが地方の党員票は健闘した石破氏。次につながる負け方をした。総裁選直後にアップした記事「惨敗した石破氏が意気軒昂になれる裏事情」を参照いただければ当時の石破氏の状況を理解いただけるだろう。
安倍氏の「レイムダック化」が進まない
しかし現実は、党内でますます孤立してしまっている。どこで、どう間違ったのか。
最大の誤算は3選後の安倍氏のレイムダック化が進まないことだ。
今の自民党の規定では、党総裁の連続4選は認められていない。長くて2年半後に党総裁、そして首相が替わるのなら、次第に安倍氏の求心力は弱まる。7月の参院選で自民党が敗れれば退陣論が出るだろうし、そうでなくても「ポスト安倍」選びは公然と進む。そうなれば安倍氏に明確に弓を引いてきた石破氏は最有力候補となるはずだった。
ところが、安倍氏は予想以上にしぶとい。今開会中の通常国会では、「統計不正」の問題などで野党から連日追及を受けているが、安倍内閣の支持は40%台で安定している。逆に統一地方選、参院選を前に野党の足並みの乱ればかり見えてくる。
そんな政治状況の中、最近では二階俊博幹事長周辺から党則を改正して安倍4選を可能にしてはどうか、というアドバルーンも上がり始めている。
早ければ今夏の参院選後、遅くとも2021年の総裁選では勝負の時が来ると踏んでいたのだが、その後も安倍氏が首相の座につき続ける可能性が出てきてしまうと、石破氏は攻め手を失ってしまう。戦略性もないまま政権批判を繰り返すしか手がない。