9月の自民党総裁選で3選を果たした安倍晋三首相。気の早い評論家たちは「3年後は誰か」という議論を始めているが、その前に問いかけたいことがある。「安倍4選」は絶対にないのか。自民党の党則は「連続3期9年まで」となっているが、それなら党則を変えればいい。実際、安倍氏は「2期6年」の党則を変えている。「もう1回」となってもなんら不思議はない――。
首相から大統領に復帰した「プーチン方式」が参考になる
自民党内では「プーチン方式」という言葉が冗談交じりで語られている。ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領は、2000年に大統領就任。ロシアは大統領連続3選が禁じられているので彼は、2期8年務めた2008年、メドベージェフ氏を後継指名した。
メドベージェフ氏が大統領になると、プーチン氏は指名を受ける形で首相になった。もちろんロシアのトップは大統領だがプーチン首相は事実上の院政を敷き、メドベージェフ氏をあごで使った。そして次の2012年大統領選で大統領に復帰。さらに今年の大統領選でも勝ち2024年まで大統領にとどまることになった。
「プーチン方式」を日本の政治に当てはめれば、2021年3期を終える安倍氏は後輩にいったん首相の座を譲り、後継者が1期を終えたところで返り咲くということになる。「プーチン方式」で安倍氏が2024年9月に首相に返り咲いたとする。9月21日の誕生日までに総裁選が行われれば安倍氏は69歳。若いとは言えないが、十分首相を務められる年齢だ。
首相の座を「レンタル」する人物は加藤勝信氏か
安倍氏とプーチン氏は気が合って、首脳会談も重ねている。安倍氏はプーチン氏のことを「ウラジーミル」とファーストネームで呼ぶ。そういう間柄であることも、プーチン氏の手法を参考にするのではないか、との臆測の根拠の1つとなっている。
3年間、首相の座を「レンタル」する人物として、最近「ポスト安倍」候補として注目度が高まっている加藤勝信・党総務会長の名を上げる人物までいる。
しかし、わざわざ3年間、他人に首相の座を譲るような、まどろっこしい方法をとる必要があるだろうか。もし、2021年以降も権力の座にとどまろうと考えるのなら、ブランクはつくらず、首相を続けて4選を狙う方が手っ取り早い。今の自民党の党則は4選を禁じているが、党則は変えられる。