どんな「コアスキル」を持つ人なら馴染みやすいか

自社で活躍するために必要なスキルは、可能性を広げるために通常の採用よりも広めに設定することをおすすめしています。このスキルの基準を高く設定しすぎてしまうと、社員がリファラル採用に動けなくなってしまうからです。

そのため、必要なスキルは図表5にあるように最低限必要なスキルのみを設定するようにします。

これも社長のトップダウンではなく、プロジェクトメンバーの意見も聞きながら決めていきます。「人柄が最高に自社にフィットした人材であれば、最低限どんなスキルさえもっていれば自社で受け入れることができるか?」をみんなで考えていきます。

その過程で、ぜひ図表6にある「早期戦力者」という考え方も取り入れてみてください。

欲しい人材像を未経験者・経験者で考えるのではなく、「どのようなコアスキルをもっていれば自社に必要なスキルを高速で学習しひとり立ちできるか?」で考えていきます。

たとえば、弊社では「中小企業向けのコンサルティング経験者」ではなく、「文章を書ける」「大中小分解ができる」「社長と会話ができる」の3つをもっている人を早期戦力者として設定し、自社で活躍するために必要なスキルとしています。

「リファラル採用」を上手に運用する方法

コアスキルの設定方法ですが、図表7にあるように、弊社なら、まずは中小企業向けのコンサルティングに必要なスキルを洗い出し、能力の大中小分解を行います。そのうえで、そのスキルの中から最低限これだけもっていれば高速で学習してすぐに戦力になれる! というコアスキルを選び出すイメージです。

白潟敏朗『知らない人を採ってはいけない 新しい世界基準「リファラル採用」の教科書』(KADOKAWA)

エンジニアなどの人気職種やニッチな職種の場合、「○○の経験がある」というカタチで欲しい人材像が設定されると、「そんな人、友人・知人にいませんよ……」と社員の心が折れてしまい、リファラル採用活動がストップしてしまいます。

もちろん、どうしても必要なスキルや経験の場合は最低限必要なスキルに入れる必要がありますが、「本当に絶対にもっていなくてはならないのか? 人柄が最高であれば、早期戦力者としてのコアスキルさえもっていれば、実は未経験でも大丈夫なのではないか?」と、この機会に改めて考えてみてはいかがでしょうか?

このようにして、

(1)自社に合う人柄(マインド・カルチャーフィット)
(2)自社で活躍するために必要なスキル(スキルフィット)

について、キックオフの場で社長とプロジェクトメンバーで意見交換しながら、共通認識をつくっていきます。この共通認識ができることで、次のステップである人脈の棚卸しが適切にできるようになります。

白潟敏朗(しらがた・としろう)
リファラルリクルーティング(株)/白潟総合研究所(株) 代表取締役社長
1964年神奈川県三浦半島油壷生まれ、宮崎県宮崎市青島育ち。埼玉大学経済学部経営学科を卒業し、1990年に監査法人トーマツに入社。経営、戦略、業務、IPOのコンサルティングを経験。1998年からISOコンサルティング会社・審査会社の立上げ。2006年にトーマツ イノベーション株式会社設立、代表取締役社長に就任。2014年10月に独立し、白潟総合研究所を設立、2017年にリファラルリクルーティング株式会社、2018年に1on1株式会社を設立、現在に至る。
(写真=iStock.com)
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