2009年第1四半期は前期比マイナス二ケタ成長と予測される。一方、オイルショック時のGDP成長率の推移から、リーマンショックで落ち込んだ成長は大きく戻すと筆者は説く。

年率13%超えのマイナス成長とは

このところ、道路が少しずつ込み始めている。交通量が増えているようだ。また、ゴールデンウイークの海外旅行の予約が、昨年より4割も5割も多いという。原油価格の急落に、消費者がポジティブな反応を始めたのだろう。産業の現場でも、電子部品の多くで1月に底を打って2月は需要が前月比で増えてきたものが多いという話を聞いた。韓国では石油化学の基礎原料をつくるエチレンセンターがフル稼働になっているという。中国向けの需要に現在の安いナフサ価格で韓国企業が反応したという。

私は前回のこのコラムで、「底なし沼の底が見えた」と書いた。大方の景気予測がまだ悲観一色だった頃に、小さな「いいニュース」をつなぎ合わせ、かつマッターホルン型乱高下と表現すべき資源価格のバブルと急落の影響を考えたうえでの、私の判断だった。その判断はおおむね正しかったようだ。3月13日に内閣府から発表された2月の消費者態度指数は、1月に続いて2カ月連続の小幅上昇だし、失業率も下がった。エコノミストの間にも、景気の底入れが近いという観測がやっと出始めた。

それでも、今年の最初の四半期(2009年1月から3月)の日本のGDPは前期(08年10月から12月)からさらに大きく下がって2ケタマイナス成長という予測が大半のようである。それは悲観的にすぎるのではないか、というのが私の判断である。もちろん、プラス成長になるという楽観をしているわけではない。しかし、すでに08年第4四半期にその前の四半期と比べて年率13%に近いマイナス成長を日本は経験した。その後で、またさらに次の四半期もマイナス2ケタ成長をするような極端な状況になるわけはない、と思っているのである。すでにいったん大きく下落したGDPの水準が09年第1四半期の出発点なのである。

2つのショックと四半期成長率(季節調整済み)
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2つのショックと四半期成長率(季節調整済み)

おそらく09年1月が景気の底だったのだろうが、その後の2月、3月も08年11月から12月への下落と同じようなペースで落ち込むことはありえない、と思えるのである。もちろん、前年同期と比べれば、かなりのマイナスの状況が09年第1四半期も続くだろう。しかし、前年同期ではなく直前の四半期と比べてさらに大きなマイナスになることは考えにくい、と言っているのである。

図は、1973年の第一次オイルショック時の四半期ごとのGDP前期比成長率のグラフを、今回のリーマンショック前後の同じ指標のグラフと重ね合わせたものである。オイルショック時には、74年第1四半期が直前四半期比で年率13%を超えるマイナスを記録した。今回はリーマンショック時の08年第4四半期がそれに匹敵する大きなマイナス成長を記録した。その大幅マイナス四半期を重ね合わせて、その前後の四半期の数字をグラフ化したのである。